2023年度事業 【自主事業】
東北圏における食ビジネスの新展開
産業活性化1次産業2次産業調査報告書地域活性化地域政策・地域経済3次産業2023年度フードテック
目的
- 世界的根な人口増加、食に対するニーズの多様化、温室効果ガス等の環境負荷低減やアニマルウェルフェアに対する関心の高まりを背景に、代替タンパク質を中心とする新しい食品開発や品種改良、加工・調理の自動化等の“食を科学する”フードテックが近年目覚ましい成長を遂げている。
- 本調査では、培養肉、植物代替肉、昆虫食、魚養殖等における新たな技術開発や、ハラール・コーシャ認証食品、アップサイクル食品、調理ロボットなど今後拡大が期待される国内外市場の動向について、幅広く調査を行った。
- また、フードテックの社会実装化に成功しつつある企業の事例を紹介し、東北圏が以前から強みを持つ農林水産業における更なる付加価値・生産性の向上、市場の拡大や創出につながる新たな食ビジネスの可能性について提言を行うことを目的に実施した。
概要
1.調査対象
- 新たな技術開発
培養肉・培養魚肉、植物代替肉、昆虫食、陸上養殖 等 - 今後拡大が期待される国内外市場動向
ハラール・コーシャ認証食品、アップサイクル食品、調理ロボット、3Dフードプリンタ 等
2.調査体制
- 株式会社農林中金総合研究所への委託により共同で実施
3.調査結果
- フードテックに関する文献・統計情報をもとに国内外の潮流や東北圏の置かれている内部環境を分析したうえで、行政、大学、学会、企業へのヒアリングをもとに、東北圏におけるフードテックの活用可能性と展開の方向性について整理した。
- 調査を通じ、東北圏において期待できる事業分野としては、温暖化で産地が北上する養殖や大豆生産地の強みを活かせる植物代替肉などであることが分かった。
4.提言
東北圏における食ビジネス拡大に向けて、以下の4つの支援を行うコンシェルジュのような仲介機能を果たす組織が必要であることを提言した。
- 既存産業との連携・情報共有の促進を通じた経営支援
→原料調達面での地元の農林水産業との連携(例:植物性代替肉における地元産大豆の活用、昆虫食における食物残渣のエサ活用・未利用工場の転用等) - 行政・金融機関との仲介を通じた資金調達の支援
→融資担当者の知見や、行政担当者の理解と首長のリーダーシップが必要 - 類似産業の知見・技術を生かす人材支援
→類似産業に従事した経験者・技術者の登録・活用 - 輸出やインバウンド対応を通じた新規市場獲得の支援
→海外事業アドバイス、外国人対応、JETRO・大使館等との橋渡し機能等の支援
以上のような機能を持つ東北圏における食ビジネス拡大支援のためのプラットフォーム(「東北圏食ビジネス拡大支援機構(仮称)」)の構築を検討する。
情報発信
- 機関誌「東北活性研」vol.53 2023秋季号「調査ノート」にて中間報告
- 東北活性研HPにて公開およびプレスリリース(2024年4月11日)
報告書
東北圏における食ビジネスの新展開
~フードテックの世界で今何が起きているのか~
- 全体版 :(PDF:6.51MB / 168ページ)