最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。
令和7年6月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)
表A-東北の現状判断(季節調整値)
表B-東北の先行き判断(季節調整値)
表C-東北の現状判断(原数値)
表D-東北の先行き判断(原数値)
調査結果の概要
1.今月のDI※
季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「43.7」と2か月連続で前月を上回った。前月と比較し+0.4ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「43.8」と2か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲0.4ポイント低下した。
原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「45.8」と3か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+3.1ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「46.1」と2か月連続で前月を上回った。前月と比較し+0.3ポイント上昇した。
※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。
2.調査の概要
調査期間 令和7年6月25日~30日
回答者数 174/189名、回答率 92.1% (全国1,800/2,050名、87.8%)
3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)
(1)現状判断理由
○「良くなっている」
(農林水産業)…さくらんぼが不調だったこともあり、桃の需要が増えている。他県の状況を見ても当県産の桃に期待が集まっており、価格も期待できる状況である。
○「やや良くなっている」
(一般小売店[医薬品])…暑い日が続いているため、昼間は出歩かず夕方からの人出が多くなっている。繁華街にも珍しく人が出てきている。また、熱中症予防対策の商品が売れ始めている。
(スーパー)…気温上昇が売上増加につながっている。特に、米、アイス、麺、キャンディーのほか、果物ではスイカ、キウイが売上を堅調に伸ばしている。
(都市型ホテル)…企業や団体等の総会・大会の利用が増加している。また、欧米を中心にインバウンドが増加している。
(テーマパーク)…来客数は、3か月前は目標値の約80%だったが、今月は同約92%と上昇している。
(建設業)…職人の数が不足しており、人繰りに苦労しているが、受注量は相応にある。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…暑い日が続いているため飲料の動きが良く、受注量、販売量共に前年をやや上回っている。
○「変わらない」
(商店街)…祭りやイベントにより商店街はにぎわった。しかし、米の高値が続くなど物価高により家計は依然苦しく、消費は増えていない。
(百貨店)…美術催事や改装を行った化粧品等のプラス要因はある。しかし、物価高騰による生活防衛意識の高まりや気候が不安定なことにより、食品、衣料品が苦戦している。
(コンビニ)…客単価は高いまま推移しており、来客数も例年並みを維持している。
(衣料品専門店)…売上としては悪くはないが、限られた客によるものである。新規客が減っており、来店回数が減っている客もいるため、不安感は拭えない。
(その他小売[ショッピングセンター])…売上は前年比104%、来客数は同101%である。前年に当地で大規模イベントが開催されたことによる反動減が大きく、前月との比較では売上は6ポイント、来客数は5ポイントのマイナスとなっている。飲食業種に限定すると来客数は前年割れしているものの、全体的にこれまでの傾向が継続していると考える。全体の免税売上は前年比190%超で好調が続いている。
(高級レストラン)…第1四半期は予算未達の見込みである。第2四半期は例年来客数が鈍化する傾向があるため、第1四半期より予算を低く設定しているが、今までの傾向からそれをも下回る可能性がある。
(観光型ホテル)…インバウンドが期待したほど伸びていない。
(出版・印刷・同関連産業)…印刷の受注は低迷しているが、広告の需要は増えている。
(人材派遣会社)…企業は正社員を採用できない状況が続いており、パートやアルバイト、派遣、スポットバイトで人員を賄っているところが多い。どの企業も景気は割とよいが、人手不足の状況である。
(新聞社[求人広告])…大型商業施設のリニューアルによりにぎわいがみられ、広告も堅調に動いている。
(職業安定所)…新規求人数、新規求職者数共に減少している。今までの求人を見直し、採用者数を抑制する事業所もみられ、求人数の減少につながっている。
○「やや悪くなっている」
(乗用車販売店)…販売台数は大きく変わっていないが、新車が売れず中古車が売れていることから、全体的な売上や単価は落ち込んでいる。
(その他専門店[酒])…ここしばらくの間では動きがある方だが、米などの物価高騰の影響が続いており、値上げ前の商品やスポットで安い商品などに動きが集まっている。
(一般レストラン)…予約状況は芳しくない。ある程度期待を持てていたランチ客も減少に転じている。また、これまでコースを注文していた客が1品料理に変更する傾向もみられる。
(旅行代理店)…個人旅行の申込みで来店する客が減少している。
(競艇場)…来客数は変わらないが、1人2人の大口客の来場により毎月の売上に変化がみられる。
(その他住宅[住宅展示場運営会社])…来場者数と当県の持家の着工件数はいずれも減少が続いている。
(輸送用機械器具製造業)…見込んでいた受注案件の後倒しが続き、計画値に達していないため、売上に影響が出ている。
(輸送業)…中国向けの機械装置出荷にキャンセルがあり、輸出貨物取扱数量に大きく影響している。また、装置完成品は保管となり、出荷のめどが立っていない。
○「悪くなっている」
(食料品製造業)…前年よりもイベント数が少ないことによる土産需要の低下に加え、中盤からスタートしたお中元も動きが悪く、売上は前年を大きく下回っている。
(2)先行き判断理由
○「良くなる」
(テーマパーク)…当施設はおおむね屋内で天候に左右されないため、夏休みには子供や孫を連れたファミリー層が多く訪れることが見込まれる。
(農林水産業)…当県では桃の生育も堅調である。他県ではひょう害などの報告もあり、当県産の農産物への期待が高まっている。
○「やや良くなる」
(旅行代理店)…インバウンドが多くなる。
(一般機械器具製造業)…省力化を図るための設備案件の引き合いが増えてきている。
(金融業)…夏祭り期間を迎えるため、観光・宿泊産業を中心にインバウンド需要の取り込みが期待できる。ただし、1次産業では気候変動を要因とする海産物の不漁や病害虫の異常発生が懸念材料である。
○「変わらない」
(スーパー)…このまま気温上昇が続けば、購買意欲が増して、季節商材で売上を維持していけるとみている。
(コンビニ)…来客数は増加傾向にあるが、ここに来て買上点数が横ばいになっている。商品の値上げにより客単価は上昇しているが、来月も値上げ予定の商品が多数あるため、上昇の勢いは鈍化するとみている。
(高級レストラン)…特定の層に特化している店舗のため一般化していない。対象を広げることも経営判断の1つの選択肢である。
(観光型旅館)…夏休み期間に入るため今月より良くなる。しかし、更に伸びる要素はないため、例年どおりで変わらない見込みである。
(タクシー運転手)…2~3か月後は夏休み期間中であり、夏祭りやコンサートなどが多数開催され、帰省客も多くなることから、利用者数の増加が予想される。
(通信業)…物価高騰が続くなか、機器代金のみならずサービス料金も値上げせざるを得ない状況のため、客の買い控えが更に加速するとみている。
(広告業協会)…物価上昇は止まらず、個人消費の抑制傾向は続くことが予想される。景気が良くなる兆しが全くみえないことから、広告業界は低迷の状態がしばらく続くとみている。
(人材派遣会社)…好転する要素がない。同業他社も同様の傾向にある。退職者の後任募集を停止する企業も徐々に増えつつある。
(職業安定所)…米国の関税政策について、多くの事業所では現時点で目立った影響はみられないが、一部で生産や採用計画に影響が出ているという声もある。全体としては求人、求職に大きな変動はないとみている。
(その他雇用)…人手不足の業種では求人数はあるものの、物価高による買い控えの影響から、卸売業、小売業の求人数が減少している。物価高が続く限り、この状況は変わらないとみている。
○「やや悪くなる」
(一般小売店[スポーツ用品])…暑さが本格的になるため、例年7~8月は来客数が減少する。また、ゴルフクラブやボールなどの商品が値上がりするため、販売に影響があるとみている。
(その他専門店[ガソリンスタンド])…中東情勢の悪化により原油価格が乱高下しており、今後の見通しが立たない。
(その他住宅[住宅展示場運営会社])…生活必需品の値上げや資材価格の高騰が影響している。景気は悪くなるとみている。
(食料品製造業)…原材料等の高騰に伴い、3か月後に値上げを予定しているため、販売量の更なる落ち込みが見込まれる。
(公認会計士)…小売業、サービス業は好調を維持している顧客が多い。製造業は売上が回復しない企業が多い。建設業は先の見通しが立たない顧客が多い。全体としてはやや悪くなるとみている。
東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。 以 上
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