最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。
令和6年8月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)
表A-東北の現状判断(季節調整値)
表B-東北の先行き判断(季節調整値)
表C-東北の現状判断(原数値)
表D-東北の先行き判断(原数値)
調査結果の概要
1.今月のDI※
季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「45.8」と2か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+1.6ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「45.5」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲0.7ポイント低下した。
原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「45.8」と2か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+0.6ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「45.1」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲1.6ポイント低下した。
※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。
2.調査の概要
調査期間 令和6年8月25日~31日
回答者数 173/189名、回答率 91.5% (全国1,822/2,050名、88.9%)
3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)
(1)現状判断理由
○「良くなっている」
(都市型ホテル)…夏祭り開催日の曜日配列は悪かったが稼働は好調だった。また、お盆も9連休の客が多かったからか好調であった。
○「やや良くなっている」
(スーパー)…お盆期間を中心に高単価商品が売れている。
(設計事務所)…建築コストの上昇や資材調達の遅延、働き方改革による4週8休の導入など、建設業界は厳しい状況下にある。しかし、新規案件の見積依頼などが続いており、市場は景気が良いとみている。
(食料品製造業)…夏祭り等のイベント、旅行、帰省等で人流が増加し、好調に推移している。ただし、台風等の悪天候によるキャンセルが発生している。
○「変わらない」
(高級レストラン)…来客数は減少傾向にあるが、単価は良いため、トータルではいつもの月と変わらない状況である。
(観光型ホテル)…来客数は依然少ない。
(美容室)…来客数は前年比96%で推移している。
(広告業協会)…人件費や原材料、エネルギー価格等の高騰が企業の収益にマイナスの影響を与えており、3か月前と変わらず、広告費の縮小傾向が続いている。
(人材派遣会社)…募集時の時給は年々上昇している。一方で、時給を上げられる企業と上げられない企業で採用に差が出ている。
(職業安定所)…各事業所の人手不足感は根強い一方で、雇用調整の案件も一定数発生している。離職者が早期に同業他社への再就職する事例も散見される。
(学校[専門学校])…新卒採用は首都圏を中心とした求人がある程度落ち着いている。今後は地元などの地方採用の求人が本格化するが、まだ大きな動きは見られない。
○「やや悪くなっている」
(家電量販店)…気温が高い日が続き、夏物の処分セールで季節商材はにぎわっているものの、本来この時期に売れる冷蔵庫や調理家電の動きが停滞している。家電量販店以外にも客が分散する傾向があり、来客数が減っている。
(乗用車販売店)…オーダーストップしている車はないが、新車の受注量がなかなか伸びない。
(その他専門店[酒])…帰省シーズンに台風が接近したこともあり、全体的に動きが鈍い。飲食店は人手不足ながらも一定の売上はあったが、一般需要は動きがない。
(その他住宅[リフォーム])…住宅設備機器はエアコン工事の問合せのピークを越えている。省エネ型給湯器工事はお盆期間と重なり先送りとなっている。リフォームは猛暑の影響で工事の先送りが増え、大型の増改築工事は減っている。
(出版・印刷・同関連産業)…印刷物の発注が激減している。
(電気機械器具製造業)…提案案件の予算や追加作業費用が認められないケースが増えている。
(輸送用機械器具製造業)…当社主力のデバイス関連事業の動向が良くないため、全体売上に悪影響が出ている。
(建設業)…目立った受注契約がない。
○「悪くなっている」
(衣料品専門店)…猛暑にもかかわらず、夏物商材が目的の客が大幅に減少している。
(遊園地)…暑さに加えて、来客数がピークとなるお盆休みの週に2回、月末に1回、台風が接近し来客数に大きな影響を与えている。コロナ禍の頃は別として、近年になく低調に推移している。
(2)先行き判断理由
○「やや良くなる」
(乗用車販売店)…メーカーの半期決算で施策支援が予定されているため、今後の受注次第で収益の増加が見込める。新車入庫の納期を見ながら商談を進めることで受注を確保したい。
(都市型ホテル)…秋の行楽シーズンの先行予約が好調である。
(旅行代理店)…秋の紅葉シーズン、年末年始と旅行業界では人が動く季節となる。予約状況が少し上向いていることもあり、エネルギー価格の高騰や為替の影響が落ち着き、悪天候にならなければ、やや良くなるとみている。
(一般機械器具製造業)…車載向け電装部品の受注見込み量がやや増えてきている。
(建設業)…目標案件の受注見通しが立っている。
(司法書士)…20代前半で40年以上の長期住宅ローンを組んで住宅を取得する人が増えている。金利上昇前の駆け込み需要が見込まれる。
○「変わらない」
(スーパー)…値上げによる単価の上昇と、買上点数の減少は引き続き変わらないとみている。
(家電量販店)…10月、11月は新製品の発売が多く、表示価格が全体的に高く感じられる時期である。また、9月の上期決算セールの後でもあるため、気温が低下し冬物商材が売れてこない限り、景気が大きく変化することはない。
(観光型旅館)…繁忙期になるため期待したいが、特別な好転要素もないため例年並みとみている。
(金属製品製造業)…株価は持ち直してきたが、依然として米国の景気後退の懸念がある。
(輸送用機械器具製造業)…一部事業の伸びは期待できるが、動きが良くないデバイス関連事業は期待できない。
(人材派遣会社)…求人の動きが停滞している。特に製造業で動きがない。インバウンド需要など一部で動きはあるが、一部の業種に限られる。
○「やや悪くなる」
(一般小売店[酒])…10月からの値上げの案内が多くきている。消費者の購買意欲を更に低下させるのではないかと心配している。
(コンビニ)…物価上昇に伴う買い控えに加え、天候が安定しないことも予想され、来客数の増加は期待できない。
(住関連専門店)…年末に向けてまた値上げが予想され、客の様子からも出費を抑える傾向は続くとみている。
(高級レストラン)…予約状況からみて、11月末までは良いとはいえない状況である。
(一般レストラン)…地震の不安や台風などの悪天候で、客が外出を控えることが予想されるため、やや悪くなるとみている。
(タクシー運転手)…2~3か月後は大きなイベントや行事が少なく、気温も涼しくなるため、利用客が少なくなるとみている。
(農林水産業)…桃のシーズンが終わり、りんごのシーズンになるが、今年は台風が多く、収穫量に影響が出る可能性がある。
(金融業)…秋に収穫される一次産品の不作が懸念される。また、物価高が企業の収益面に引き続き影響を与えることは避けられない。
(職業安定所)…最低賃金の引上げにより、人件費の問題が発生するとみている。
(民間職業紹介機関)…周辺企業の増産による人材募集は年内で終わるため、3か月先はやや悪くなると予想している。
東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。 以 上
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