公益財団法人 東北活性化研究センター

今月の景気ウォッチャー調査

最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。

令和7年7月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)

表A-東北の現状判断(季節調整値)

表B-東北の先行き判断(季節調整値)

表C-東北の現状判断(原数値)

表D-東北の先行き判断(原数値)

調査結果の概要

1.今月のDI※

季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「48.0」と3か月連続で前月を上回った。前月と比較し+4.3ポイント上昇した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「50.2」と2か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+6.4ポイント上昇した。

原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「48.6」と2か月連続で前月を上回った。前月と比較し+2.8ポイント上昇した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「48.6」と3か月連続で前月を上回った。前月と比較し+2.5ポイント上昇した。

※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。

 

2.調査の概要

調査期間 令和7年7月25日~31日
回答者数 176/189名、回答率 93.1% (全国1,800/2,050名、87.8%)

 

3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)

(1)現状判断理由

○「良くなっている」
(電気機械器具製造業)…受注量が直近5年間の同月比で最高の実績となっている。

○「やや良くなっている」
(スーパー)…商品の値上げによる単価上昇が継続している。また、7月に入り猛暑日が続き、来客数も増加傾向にある。
(コンビニ)…例年よりも気温が高くなり、来客数が増加している。
(旅行代理店)…海外旅行の相談をする客が増えている。国内でも沖縄や大阪・関西万博といった比較的高額な申込みをする客が多くなっている。
(その他サービス[自動車整備業])…不安材料だった日米の関税交渉に一定の方向性が出たことで、先の見通しが立つ状況になっている。
(その他住宅[住宅展示場運営会社])…来場者数は減少しているが、成約件数は増加傾向にある。
(通信業)…取引先において忙しい様子が見受けられる。
(人材派遣会社)…倉庫業やアミューズメント業、飲食業といった業種の企業では、人手不足がビジネスの停滞要因として大きかった。しかし、省力化やデジタル化、ロボットによる業務自動化など仕事の効率化に着手しており、人手不足が要因にならなくなってきている。

○「変わらない」
(商店街)…イベント等でにぎわいを見せたが、物価高の影響を受け商店街の売上は横ばいが続いている。
(百貨店)…物価の上昇により消費意欲が減退しているため、価格訴求となった夏のセールは、期待したものの大きな動きはなかった。また、猛暑でシニア層の来店が減少し、販売量に響いている。
(衣料品専門店)…セール期間に入っても低単価商品の購買が中心である。
(住関連専門店)…マンションも戸建て住宅も購入するのに精一杯で、家具やインテリアの購入はちゅうちょする人が多い。使えるものは使い、新しい家具は購入しない傾向がみられる。
(都市型ホテル)…大地震が起こるといううわさの影響で団体客が減少している。航空会社によっては国際便を運休にしたところもあり、厳しい状況である。
(通信会社)…猛暑が続いており、日中、夜間を問わずテレビを視聴している人が増えている。放送サービスの新規加入者数に大幅な伸びはないが、解約者数は大きく減っている。インターネットサービスも新規加入者数は増えていないが、解約者がほとんどいないため純増となっている。
(競艇場)…来客数に変化はないが、大口客の減少により客単価が落ちている。
(美容室)…暑い日が続いており、客の様子から外出するだけで大変そうである。
(食料品製造業)…父の日やお中元のギフトは通信販売で伸長しているが、百貨店を始めとする実店舗では店舗間で好不調の差が大きい。客は送料負担の有無が1つの選択肢になっている。
(金属製品製造業)…米国との関税問題の影響か、客先からの予定の出方が慎重になっている。
(建設業)…安定した受注量が確保できている。
(広告代理店)…企業の認知度向上や人材採用のニーズは人手不足の環境下で高まっている。一方、自動車関連など足元が厳しい企業も多く、全体としては前月並みである。
(職業安定所)…新規求人数は持ち直しているものの、事業所閉鎖や企業整理を行う事業所があり、明暗が分かれている。

○「やや悪くなっている」
(観光名所)…帰り際の土産品の購入やドリンクオーダーなど追加購入が減っている。最低限の観光で満足して帰る印象を受ける。
(金融業)…物価の上昇と異常な高温が続いており、消費者の外出意欲や購買意欲が低下している。そうしたなか、小売では冷風家電の販売が好調に推移している。
(その他雇用)…物価高により卸売業、小売業で人員削減の動きがある。他業種でも採用意欲が低下している。

○「悪くなっている」
(その他専門店[白衣・ユニフォーム])
…熱中症対策の義務化で空調服の引き合いはあるが、人気のペルチェ式などは売り切れとなり、次の入荷は未定の状態である。在庫があるファンのみのデバイスで対応している。しかし、単価が高く競争も激化しているため売上増までには至っていない。事務服はほとんど動きがない。特に夏物は近年の高温によりポロシャツなどに切り替わり、ベストやブラウスの需要がなくなっている。また、サービス系業種のユニフォームの需要も低く、こちらも受注に至らない。
(一般レストラン)…選挙や暑さの影響もあってか、昼、夜共に来客数が少ない。

 

(2)先行き判断理由

「良くなる」
(建設業)…交渉が長引いていた案件の契約がようやくまとまるほか、民間の小口案件も一定数の出件が見込まれる。

「やや良くなる」
(スーパー)…値上げで客単価が上がり、売上が伸びているのと並行して、買上点数も伸びている。
(衣料品専門店)…秋物が本番を迎える。単価が少し上がるため、売上の増加に期待している。
(都市型ホテル)…秋のシーズンに向けて予約は好調に推移している。
(旅行代理店)…先行予約状況に少し光が見えている。今年は年末年始の日並びが良いため、この先は少し良くなるとみている。
(通信会社)…現在サービスエリアの拡大に向け準備を進めており、10月以降のエリア拡大後は、放送サービス、インターネットサービス共に新規加入者数の大幅な増加が見込まれる。
(金属製品製造業)…米国との関税問題が落ち着いてきたため、受注予測が若干持ち直しつつある。
(通信業)…人気端末の最新機種発売などで、一時的に顧客の購買意欲が向上することが見込まれる。
(経営コンサルタント)…日米の関税問題に一定のめどがつき、企業の方向性の不透明感が多少は改善されると期待している。
(人材派遣会社)…日米の関税交渉に一定のめどが立ち、様子見ムードから動きが出るとみている。特に自動車と半導体を中心とした製造業に期待している。

○「変わらない」
(一般小売店[スポーツ用品])
…例年秋は新作が発売され売上が見込めるが、物価高の影響を受ける可能性がある。
(農林水産業)…しばらく高温が続くことが予想され、果物の需要は高いまま変わらないとみている。
(広告業協会)…物価の上昇が賃上げを上回っている状況では、消費意欲が高まることはないため、販売促進費を拡大する企業は少ない。広告業界の業績が伸長する気配は全くない。
(職業安定所)…事業所からは、米国との関税問題や国際情勢で先行きが不透明、天候不順で先が読めないといった話も聞くが、6月に受理を開始した高卒求人数は前年を少し上回っている状況である。この先も求人、求職の動きに大きな変化はないとみている。
(学校[専門学校])…求人件数やその内容から、大きな動きはないとみている。

○「やや悪くなる」
(コンビニ)
…ソフトドリンクやおにぎりの売行きが良くないと売上も上がらない。過ごしやすい時期になるとソフトドリンクなどの動きが悪くなるため、2~3か月後の景気は悪くなる可能性が高い。
(家電量販店)…気温が落ち着けば、寒くなるまで季節商材に大きな需要はなくなる。炊飯器やレンジなど調理家電が入替えの時期に差し掛かり、9月にはセールもあるが、全体的に需要が落ち着くためやや悪くなるとみている。
(その他小売[ショッピングセンター])…秋に近隣で都市型ショッピングセンターの出店が控えている。開業後、当面は食品を中心とした平日の客、週末の物販客の減少が懸念される。また、9月からレストランゾーンにおいて改装休業が生じるため、飲食業種としては前年比大幅減少の見込みである。米国の関税動向や物価高騰の状況によっては節約志向が高まることも懸念される。
(タクシー運転手)…2~3か月後は涼しくなり過ごしやすくなるため、利用者は大幅に減るとみている。
(輸送業)…中国が日本産水産物の輸入一部再開を発表したが条件付であり、当社で取り扱う輸出食品は元に戻るような状況にない。また、日米関税合意が物流業界に及ぼす今後の影響を懸念している。

東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。  以 上

 

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