最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。
令和7年4月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)
表A-東北の現状判断(季節調整値)
表B-東北の先行き判断(季節調整値)
表C-東北の現状判断(原数値)
表D-東北の先行き判断(原数値)
調査結果の概要
1.今月のDI※
季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「41.4」と2か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲3.3ポイント低下した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「41.3」と5か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲2.8ポイント低下した。
原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「43.0」と2か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲3.5ポイント低下した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「42.7」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲2.8ポイント低下した。
※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。
2.調査の概要
調査期間 令和7年4月25日~30日
回答者数 168/189名、回答率 88.9% (全国1,813/2,050名、88.4%)
3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)
(1)現状判断理由
○「良くなっている」
(競艇場)…来客数に変化はないが、客単価が上がっている。大口の客が数名いたことが要因とみている。
○「やや良くなっている」
(都市型ホテル)…桜のシーズンが到来し、アジアのみならず欧米からの客の動きが良くなっている。
(農林水産業)…前年産の出荷米について農業団体からの追加払いがあったが、これまでにないくらい金額が高い。
(金属製品製造業)…年度末の在庫調整が平年より強めだったため、その反動で受注が増えている。
(新聞社[求人広告])…大型商業施設の開業やリニューアルでにぎわいがみられる。広告も堅調に動いている。
○「変わらない」
(商店街)…春の訪れとともに来街者数は増加している。しかし、米国の関税政策などにより物価高騰は続いており、景気は横ばいとなっている。
(一般小売店[酒])…米や野菜、ガソリンなど生活に直結する物の価格がかつてないほど高騰しており、消費者の生活を圧迫している。その影響でレジャー費、外食費は節約傾向にあり、飲食店への販売量が伸び悩んでいる。
(百貨店)…物産展やイベント等、期間限定の提供商品は反応が良い。しかし、食料品や日常使いの商品の販売量は、生活防衛意識の高まりにより減少している。また、今月前半の低温により、ファッション関連商品の動きも鈍くなっている。
(スーパー)…食品の相次ぐ値上げによる買い控えは依然続いているものの、一時期より落ち着いている。
(乗用車販売店)…例年と比べタイヤの交換時期がずれているため来客数は多いが、販売にはつながっていない。年度が替わりモデルも新しくなり、現行車種の生産がストップしているため、受注はあっても売上にならない。
(設計事務所)…官公庁案件は建設費の高騰で予算取りが厳しく、発注件数は少ない。民間案件は事業規模の拡大や変更に伴い新設や改修などを検討する問合せもあり、例年と変わらない。
(食料品製造業)…商品の動きが悪く、販売量の前年割れが続いている。
(建設業)…資材価格の高騰から、契約が取りづらい状況が続いている。
(金融業)…春祭りのシーズンを迎え消費者の購買意欲は上昇するタイミングである。しかし、物価高や米国の関税政策等の経済環境の不安定さを要因に、購買気運は盛り上がりに欠け、企業の設備投資意欲も抑制気味である。
(職業安定所)…年度末の退職者の求職申込み等により、新規求職者数が前年同月比で増加に転じたため、新規求人倍率が低下している。有効求人倍率は横ばいで推移している。
○「やや悪くなっている」
(コンビニ)…東北地方の店舗では来客数の伸びが小さい。売上は伸びているが、値上げ分が増加しただけである。
(住関連専門店)…受注生産をしているが、販売量はやや悪くなっている。
(高級レストラン)…予約数が落ち込んでいる。特にディナータイムが芳しくない。
(一般レストラン)…例年なら歓迎会などが開かれる時期だが、今年は少ない。平日の来客数の減少も著しい。外食を控えている人が多いことを実感している。
(通信会社)…安い物を求める客が増えている。
(その他サービス[自動車整備業])…物価の上昇に賃上げが追い付かず、商品の売行きが急速に鈍っている。金利負担もかなり増え、仕入価格も上昇しているが、これ以上商品価格を上げることはできない。
(電気機械器具製造業)…3か月前と比べ、新規案件の依頼件数が減少している。
(通信業)…販売価格を上げたことにより販売量が減少している。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…4月からの物価上昇の影響がみられる。また、3月の値上げ前の駆け込み需要による反動が出ている。
(人材派遣会社)…求人数、求職者数共に前年比約80%で推移している。4月の就業決定数は過去10年間で最低値となる見込みである。市場に停滞感が出ている。
○「悪くなっている」
(遊園地)…春休みは天候に恵まれず、来客数は低調に推移している。ゴールデンウィークは前半が飛び石なこともあり、前年を大きく下回っている。物価上昇や先行きの不透明感により動きが鈍くなっているとみている。
(2)先行き判断理由
○「やや良くなる」
(衣料品専門店)…天候が暖かくなり晴れの日が増えれば、来客数の増加が期待できる。
(旅行代理店)…ゴールデンウィークを自宅で過ごす人も、景気が悪いからという理由だけではなく、混雑を避け、少し時期をずらして旅行に行く人もいる。先行予約の状況からも少し良くなるとみている。
○「変わらない」
(百貨店)…物価高が改善されるとは考えにくく、買い控えや必要最低限の購買行動に変化はないとみている。
(スーパー)…物価高騰が続くなか、節約志向は変わらないとみている。
(乗用車販売店)…車両価格が年々上がるなか、顧客からは高くて買えない、できるだけ我慢して乗り続けるといった声を聞く。価格転嫁の影響が大きいことがうかがえる。
(タクシー運転手)…利用者数は大きくは変わらないが、暑くなれば通勤や通院などの利用者が多くなる。また、コンサートや地域の祭りによる利用者も多くなる。
(美容室)…ゴールデンウィークに出費した分、その後は消費を抑えるようになる。物価高による節約も予想される。
(食料品製造業)…販売量の減少に歯止めがかからないことから、経営状況は厳しくなるとみている。
(建設業)…特定分野の案件がなくなっているものの、全体的に工事量は多い。
(輸送業)…今期の見通しは厳しい。例年よりも高い賃上げのため、人件費増加の負担が重くのしかかる。また、米国の関税政策によって中国の景気回復が更に遅れることが予想されるため、当社の機械装置製造業の取引先において中国向け輸出が増えないことを危惧している。
(通信業)…受注件数は前年と変わらないが、廉価な端末やプランへの変更希望が増えている。ランニングコストを少しでも減らしたい客が増えている。
(職業安定所)…新規求人数は前年比では減少しているものの、人手不足感は続いている。管内事業所において、米国の関税政策の直接的な影響や極端な売上減少、雇用調整の話はなく、特段大きな変動はないとみている。
(その他雇用)…原材料価格の高騰が落ち着かない限り、景気は変わらない。
○「やや悪くなる」
(コンビニ)…値上げ商品が増えているため、客が単価の低い商品を選んで購入する状況は続くとみている。
(一般レストラン)…ディナータイムの来客数が前年比80%程度であり、営業が成り立たない。
(一般機械器具製造業)…米国の関税政策の影響で、特に自動車関連の生産計画の見直しが予想される。
(電気機械器具製造業)…発注や納期のタイミングを先延ばしするケースが徐々に出始めている。
(広告業協会)…米国の関税政策の先行きが不透明で、様子見状態が続くとみている。広告市場はプラス要素に乏しいため、現状よりもやや悪化するとみている。
(人材派遣会社)…米国の関税政策の影響が見通せないなか、自動車産業や半導体産業では、減産により雇用への影響も出てくることが予想される。物価高騰のなか所得はそれほど上がっておらず、消費を冷やしかねない。よって、中期的にやや景気は減速するとみている。
東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。 以 上
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