最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。
令和7年10月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)
表A-東北の現状判断(季節調整値)
表B-東北の先行き判断(季節調整値)
表C-東北の現状判断(原数値)
表D-東北の先行き判断(原数値)
調査結果の概要
1.今月のDI※
季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「45.0」と3か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+0.5ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「51.3」と3か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+4.7ポイント上昇した。
原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「45.6」と2か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+1.1ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「50.0」と2か月連続で前月を上回った。前月と比較し+2.7ポイント上昇した。
※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。
2.調査の概要
調査期間 令和7年10月25日~31日
回答者数 177/189名、回答率 93.7% (全国1,830/2,050名、89.3%)
3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)
(1)現状判断理由
○「良くなっている」
(都市型ホテル)…紅葉の時期となり、地震の影響も少なくなっていることから来客数は好調に推移している。インバウンドはアジアのみならず欧米からの動きも良い。
○「やや良くなっている」
(一般小売店[医薬品])…10月は3か月前と比べて売上が5%良くなっている。特にインバウンドが多くなっているが、彼らはスマートフォンの翻訳アプリを使いながら商品を選んでいる。
(百貨店)…衣料品では秋冬商材に動きが出ており、前年より客単価、買上点数共に伸びている。
(衣料品専門店)…気温の低下に伴い来客数も増え、売上も安定してきた。
(家電量販店)…OSのサポート終了に伴い、パソコンの売上が前年比160%と好調である。しかし、テレビが前年比80%と低調であるため、全体の売上は前年比約108%となっている。
(美容室)…客単価は前年比103%である。販売価格上昇に対する客の抵抗感が薄らいでいるとみている。
(農林水産業)…米価は少し値下がりしているものの、依然高値が続いている。
○「変わらない」
(商店街)…物価高騰が続いており、来街者の購買意欲も変わらない。
(百貨店)…現在も物価上昇の流れは止まらず、食料品を中心に販売量を落としつつある。ただし、物産展の商品など背景がしっかりしているアイテムやブランドはプチぜいたくとして好調に推移している。
(スーパー)…1品単価は前年比104%強で推移している。ただし、来客数は前年並みで、買上点数は前年を若干割っている。商品価格の上昇や価格転嫁により、営業収入は前年を超えたが、消費環境が厳しい状況は変わっていない。
(住関連専門店)…マンションや家を購入しても家具やインテリアを一新する人は少ない。購入する物があっても相見積りを取って検討している。全てを予算内に収める傾向がみられる。
(通信会社)…連休があったことと行楽シーズンを迎えたことで外出機会が増えた。自宅で映像コンテンツに触れる機会が減少したため、有料の映像サービスや通信サービスの新規申込者数は増えることなく3か月前と同じである。
(その他住宅[リフォーム])…住宅設備機器は、3か月前と比べて給湯器、コンロの交換工事とFF式暖房器具の工事が増えている。リフォームは、屋外の工事が多少増え、屋内の軽微な修繕工事も増えているが、大型の増改築工事は減っている。
(出版・印刷・同関連産業)…広告、チラシ折込の受注量が前年より伸びない。
(土石製品製造業)…前年同月と比較すると微増だが、依然厳しい状況である。
(金属製品製造業)…米国の関税政策の見通しが立ってきたことや株価上昇といった比較的良いニュースはあるが、受注量の増加には結び付いていない。
(経営コンサルタント)…食品の値上げが続くなか、購買者のコストパフォーマンスを意識した選別消費の傾向が顕著になっている。
(求人情報誌製作会社)…新規事業に係る求人募集はなく、ほとんどが人手不足による求人である。
(職業安定所)…新規求人数が前年より増加している。一方、大企業、中小企業共に企業整備による人員削減の動きが見られる。
(その他雇用)…物価高騰のため卸売業や小売業、宿泊業などで求人を控える動きが続いている。また、原料価格の上昇分を価格に反映できない製造業で、廃業や生産拠点集約の動きが続いている。
○「やや悪くなっている」
(コンビニ)…購買単価は上昇傾向にあるが、来客数の減少が顕著で販売量は減少している。クマの出没により、特に夜間の人流が少ない。。
(その他専門店[ガソリンスタンド])…ガソリン税の暫定税率廃止の報道を受けて、燃料油の給油を控える動きがあり、下旬にかけて販売量が減少している。
(一般レストラン)…来客数は減少し、客単価も落ちてきている。
(観光型旅館)…ドリンクの注文でも2極化が進んでいる。宿泊単価の高い客は高い飲物、低い客は飲まないあるいは単価の低い飲物を注文している。
○「悪くなっている」
(遊園地)…3連休の週を含め週末の天候が不順で、大規模イベントも不発だったことから、来客数は前年を大きく下回っている。
(2)先行き判断理由
○「やや良くなる」
(家電量販店)…パソコンは好調が続くとみている。また、気温の低下により、暖房器具の動きも良くなるとみている。
(乗用車販売店)…降雪量によっては影響が出るとみているが、年末にかけてのメーカー施策や初売りで目玉になる車種など仕入れ車の入庫状況は悪くない。
(その他専門店[靴])…降雪量は平年並みか多いとの長期予報が出ているため、冬物商材の需要は例年並みにあるとみている。
(通信会社)…政府の物価対策の効果が出てくることを期待する。
(輸送用機械器具製造業)…一部客先からの受注増加が見込める。また、2~3か月先は動きが良くなる見込みがある。
(通信業)…パソコンのOSサポート終了による駆け込み需要で、一時的に受注が増える見込みである。
○「変わらない」
(一般小売店[酒])…お歳暮商戦や忘年会シーズンの需要に期待したい。しかし、寒くなり暖房や除雪などの費用負担を強いられる。また、更なる物価上昇や大手飲料メーカーへのサイバー攻撃による商品の品薄等の影響が懸念される。
(コンビニ)…値上げ品目が増えるなか、販売量が増える見込みはない。
(衣料品専門店)…物価高の影響は徐々に大きくなっており、景気は少しずつ後退している。お直しをして着続ける客が増加しており、買い控えが進んでいる。
(その他小売[ショッピングセンター])…引き続き財布のひもは固いとみるが、クリスマスや年末年始はピンポイントで若干良くなる可能性はある。売上に占める免税販売の割合は0.1%程度にすぎないが、前年比160%超と伸長している。伸び代は大きい。
(一般レストラン)…レストラン業は秋から冬がシーズンといわれており、クリスマスに向けて予約が入り始めてもよいはずだが出足が悪い。かなり厳しい状況が続くとみている。
(広告代理店)…新政権が動き出し、経済に良い影響が出てくることが期待できる。
(人材派遣会社)…求職者数の増加傾向は一過性とみている。在宅勤務や扶養内勤務の希望者も多く、企業ニーズに合致した人材が不足しているため、景気は良くならないとみている。
(新聞社[求人広告])…人手不足にもかかわらず、ここ数年、企業が新聞に求人広告を打てていないのは、広告費を捻出できるほど利益を出していないためとみている。
(職業安定所)…企業が求人提出に慎重な姿勢は続いており、12月からの最低賃金引上げが雇用に与える影響を注視する必要がある。
○「やや悪くなる」
(高級レストラン)…例年と比べて予約数が鈍化しており、それが毎月下振れしている。年末年始のイベントの見合せや縮小を検討している。
(農林水産業)…長期予報で大雪の危険性があると報じられている。大雪になると店舗の来客数が減少する可能性が危惧される。
(食料品製造業)…商品の値上げによる販売量の更なる減少が見込まれる。今月より景気が悪くなるとみている。
(輸送業)…当地の誘致企業である機械製造業において、生産拠点の再構築に伴い2026年末までに工場の規模を大幅に縮小する計画があるとの報道がされた。地域経済に大きな影響を及ぼす可能性があり、懸念事項である。
(金融業)…10月も食料品を中心に値上げあり、今後もエネルギー価格の上昇が予想されるなか、新政権において、現時点では円安を食い止めるような政策は発信されていない。今後も円安を原因とした物価高の圧力が想定され、賃金の伸びが物価上昇に追い付かず、消費マインドを押し下げる懸念がある。また、最低賃金引上げに対しても、既に労働分配率が高い中小企業が対応に苦慮しており、人材確保ができない企業の増加も予想される。
東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。 以 上
データのダウンロード












