公益財団法人 東北活性化研究センター

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平成29年度事業 【自主事業】
東北発・新型アグリツーリズム調査

調査報告書地域活性化地域資源活用平成29年度地域ブランド

[事業目的]

地域観光サービス業は、わが国における近年の観光需要拡大の動きをとらえ、地域固有の資源を活用した「アグリツーリズム」に対する関心が広まっている。しかし、これまでは、修学旅行等の団体客向けの農家民泊・農業体験が主流で、地域にとって必ずしも利益につながるビジネスとなっていない。

そこで、東北固有の地域資源を活かした「新型アグリツーリズム」の可能性について調査・検討を行い、今後の東北圏における観光振興の一助とすることとした。

[進め方]

【平成28年度】
アグリツーリズムに詳しい千葉大学大学院 園芸学研究科の大江教授に委員長に就任していただき、「東北発・新型アグリツーリズム」に関する検討体制整備を行った。

  • 東北発・アグリツーリズム(発展タイプ)第1回検討委員会の実施(平成29年1月29日)(仙台市)
  • 東北発・新型アグリツーリズム・フレームワーク検討会(第1回)の実施(平成29年2月17日)(仙台市)
  • 東北発・アグリツーリズム(発展タイプ)第2回検討委員会の実施(平成29年2月24日)(仙台市)
  • 東北発・新型アグリツーリズム・フレームワーク検討会(第2回)の実施。(平成29年3年30日)(仙台市)

【平成29年度】
検討委員会・フレームワーク検討会の開催、現地調査等を実施し、大江教授のご指導のもとで、東北における「新型アグリツーリズム」の可能性に関する報告書を作成した。

  • 東北発・アグリツーリズム(発展タイプ)第3回検討委員会の実施(平成29年4年27日)(仙台市)
  • 農家レストランの実態調査を目的に、仙台市若林区荒井にある「もろやファーム キッチン」を訪問し、農家レストランの実態調査を実施(平成29年4年27日)(仙台市)
  • 「体験プログラム」を主体にした着地型アグリツーリズム(宮城県栗原市)およびクアオルト健康ウォーキング(「気候性地形療法ウォーキング」)(山形県上山市)他の視察(平成29年7月8日〜9日)
  • ※クアオルト(Kurort):クア「療養(Kur)」とオルト「場所(Ort)」という言葉が組み合わされたドイツ語で、森林浴等を利用して治療・養生を行う滞在型療養地のこと
  • 東北発・新型アグリツーリズム・フレームワーク検討会(第3回)(平成29年10月12日)
  • 「東北発・新型アグリツーリズム」に関する調査報告書作成(平成30年3月末)

[概要報告]

東北における「新型アグリツーリズム」の可能性を考察した結果、従来のマス・マーケット指向を改め、サービスに対して支払い意思額の高い層を対象に、サービス内容を根本的に組み立て直す必要があるとの結論に達した。

元来、交流人口拡大の観点で農村部が提供できる価値は、狭い意味の観光に限定されるものではないはずだ。今日、社会が直面する課題に農村部がどのように貢献できるかを考え、社会に新たな価値を提供するようになることが重要である。

人々の関心は、「モノ」の所有よりも、いかに有益で魅力的な体験ができるか、すなわち「コト」消費にシフトしていると言われる。とりわけ、わが国では、本格的な高齢化社会の到来によって、健康増進に対する社会的関心が高まりを見せており、個人の「ウェルビーイング」を実現する体験型観光プログラムが、豊かな自然環境等を武器にして、全国各地の農村部で勃興しつつある。

そうした先行事例として、本調査では、山形県上山市のクアオルト事業を取り上げた。上山市の特徴は、クアオルト先進国であるドイツの専門家によって認定を受けたコースやガイドを有していることであり、市民や大都市圏に所在する企業が健康増進を目的にサービスを利用している点に注目する必要がある。

また、宮城県栗原市の「一般社団法人くりはらツーリズムネットワーク」に見られるように、地域内の異なる技能を持った人々をつなぎ、地域外との多様な技能・能力をもった人々とのつながりを作ることで、従来にない新しい価値に対する気づきが湧き起こることが期待できる。

東北の農村部は、元来、大きなポテンシャルを有しながら、それを十分発揮してきたとはいいがたい面がある。狭い概念を突破し、新たなネットワーク形成によって、新しい観光(交流人口拡大)の絵姿を東北から発信してほしいと念願する。

[情報発信]

 

[報告書]

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