令和元年度事業 【自主事業】
移住促進政策調査
[事業目的]
地方創生において都市から地方へのひとの流れをつくるべく若者の人口還流(UIJターン)が注目され、各自治体で移住・定住への取組みが活発化している。しかし、依然東京への一極集中が続いており、さらに自治体間において移住者の獲得競争も激化している。そうした中、自治体とともに地域住民や地域内団体・企業等が積極的に移住・定住促進に取り組み、成果をあげる等、新たな動きも見られる。
これまでの当センターにおける若者の移住・定住に関する調査では、移住・定住促進のための政策や田園回帰による農山村再興、空き家活用、地域おこし協力隊制度活用等、主に行政主導による方策を検討してきた。
実施から5年目を迎える2019年度は、移住・定住促進に関する調査の最終年度として、移住者を受け入れる側の地域住民や地域内団体・企業にも焦点を当て、関係人口創出も視野に入れた、様々な主体によるこれからの移住・定住促進方策のあり方について考察、提案することとする。
[進め方]
地方創生と移住促進政策の動向を把握すべく、制度の変遷および統計資料を整理した。また地方自治体の実施施策の類型化を試み、実施状況を分析した。事例調査では多様な主体による施策や取組みについてその実施体制や経緯、取組内容を把握した。それらを踏まえ、自治体や地域住民、地域内団体・企業などに向け、関係人口の創出も可能とする移住・定住促進に資する提言を行った。
[概要報告]
1.事例調査の結果概要
地方創生第2期に向け、地方自治体では関係人口の創出も見据えた移住・定住促進施策を展開していくことが求められ、その実施には多様な主体を担い手として取り込み展開していくことが有効である。そこで、多様な主体が連携し様々な移住・定住促進事業に先進的に取組む事例(東北圏3、域外6)を調査した。
自治体主導
①北海道東川町
②長野県塩尻市
③岡山県津山市
地域住民主導
④秋田県五城目町
⑤鳥取県大山町
NPO・企業主導
⑥宮城県石巻市
⑦宮城県気仙沼市
⑧石川県七尾市
⑨宮崎県新富町
調査からは、多様な主体が強みを活かし弱みを補う連携体制を構築し、さらに多彩な受入れコンテンツを整備し、関係人口との関係強化や移住者の定住促進に取り組んでいる。移住・定住促進事業のターゲットが関係人口やUターン予備軍である地域内や地域出身の若者などに広がり、彼らが段階的に移住希望者に育つという視点のもと取組みを展開していることが明らかとなった。
2.提言
上記で得られた結果を踏まえ、3つの提言を行った。
提言1「関係人口の創出・拡大とその関係性の維持」に関する方策
独自の切り口で多様なターゲットに向けた情報発信の強化と関係維持のための様々な受入れコンテンツの整備
提言2「移住・定住段階へのステージアップ」に関する方策
地域内の多様な主体が役割分担を行い、様々な施策の連動・掛け合わせとともに、多様化・個別化する移住検討者などのニーズに対する適切かつ迅速な対応
提言3「多様な主体による体制構築」に関する方策
提言1、2の実現に向け推進体制を構築するプロセスを体系化し、プロセス全体の継続的なアップデートを図りながら移住・定住促進事業を実行
[情報発信]
[報告書]
- 「様々な主体によるこれからの移住・定住促進方策」 (PDF:5.49MB/130ページ)