最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。
令和6年12月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)
表A-東北の現状判断(季節調整値)
表B-東北の先行き判断(季節調整値)
表C-東北の現状判断(原数値)
表D-東北の先行き判断(原数値)
調査結果の概要
1.今月のDI※
季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「46.9」と5か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲1.5ポイント低下した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「46.4」と2か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲0.3ポイント低下した。
原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「44.1」と3か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲1.1ポイント低下した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「44.7」と2か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲0.9ポイント低下した。
※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。
2.調査の概要
調査期間 令和6年12月25日~31日
回答者数 174/189名、回答率 92.1% (全国1,786/2,050名、87.1%)
3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)
(1)現状判断理由
○「やや良くなっている」
(百貨店)…若年層向けの化粧品やアパレルの店舗がオープンしたことにより、若年層を中心に来客数が伸びている。
(乗用車販売店)…直近1~2か月は車両供給が安定してきた関係で、特に新車部門の売上が増え始めている。まだ予断を許さないが、好材料の1つとなっている。
(その他専門店[靴])…数年ぶりの大雪により、長靴や滑りにくい冬底靴、防寒靴が好調である。しかし、値上げをしているため、他店やネット販売の価格と比較している客が多くみられる。
(その他専門店[ガソリンスタンド])…寒さが厳しくなり、灯油やスタッドレスタイヤを中心に季節商材の販売量が前年を超えている。
(競艇場)…大きなレースの開催が続いているため、来客数が増加している。
(設計事務所)…建設費が高騰している状況に変わりはないが、食品や電子機器の工場設計の受注や医療福祉系からの新規案件の問合せなどがある。
○「変わらない」
(商店街)…年末にもかかわらず売上が少ない。
(スーパー)…買上点数が減少しており、客単価が上がらない。クリスマス期間中も売上は大分厳しくなっている。
(コンビニ)…物価は高騰しているが賃金は上がらないため余裕がなく、客が物を買わなくなっている。
(都市型ホテル)…当地域は雪が余り降らないため、インバウンドが減る時期だが、チャーター便の増便の影響もあり持ちこたえている。
(旅行代理店)…年末年始は来客数や旅行の申込みが増えるとみていたが、変化がない。
(タクシー運転手)…降雪により路面の状態が悪いため、通勤、通学、通院などの利用が多い。また、忘年会シーズンのため利用者が多くなっている。
(遊園地)…土日のみの限定営業であった。来客数は気温が高かった前年より減少したものの、例年の12月と同程度となっている。
(出版・印刷・同関連産業)…年末に向けての需要、発注に以前のような勢いがない。原材料やエネルギーのコスト高、人件費を始めとする経費の増加が重荷となり、販売促進費は真っ先に削減されている。
(輸送用機械器具製造業)…年末年始が納期の駆け込み受注はあったものの、通常の受注量は計画に届いていない。
(金融業)…年末に向けて小売業は上向きだが、降雪量の多さ等を背景に県内の個人消費の伸びは鈍い。観光、インバウンドも冬の厳しい天候の影響か入込のペースが上がらない。設備投資は、資材価格の高騰を理由としたネガティブな情報は減少傾向にある。
(人材派遣会社)…今年度の採用に関する企業の動きに特段の変化はないが、採用に苦戦している企業が増えている。求職者の母数がいないわけではないものの、企業が求めるスキルや経験を持つ人に複数の企業が集中しており、育成を前提とした未経験者の採用には慎重な姿勢が続いている。
(職業安定所)…周辺企業からは、原材料費や燃料費の高騰により、利益を出すことが難しくなっているという話を聞く。求人活動は活発であるが、人手不足に起因するものであり、増産や規模の拡大のための求人はほとんどない。
(学校[専門学校])…求人数は前年同月とほぼ変わらない。
○「やや悪くなっている」
(一般小売店[医薬品])…来客数は前年と比べて減少している。単価が高い特定の商品は売れているが、一般的で価格競争の激しい商品は売上が極端に悪化している。高単価の商品を購入する客層に支えられ、全体の売上は若干の悪化にとどまっている。
(高級レストラン)…年末年始の予約数が目標を達成していない。決して高い目標値ではないが苦戦している。
(農林水産業)…燃料価格が更に上昇している。
(食料品製造業)…お歳暮の動きが非常に悪い。送料が上がった分、販売数量が減少している。
(電気機械器具製造業)…取引先の設備投資の削減が続いている。
○「悪くなっている」
(衣料品専門店)…気温の影響で冬物が出遅れたことに加え、客単価は上がっているものの来客数が減っており、売上に響いている。
(一般レストラン)…消費が冷え込んでいるのか、計画的に金を使わないようにしているのか、クリスマスを含めて来客数が大幅に減少している。
(美容室)…急に寒くなったため、客足が鈍っている。
(金属製品製造業)…独身の日、ブラックフライデー、クリスマス商戦が不調で客先が在庫調整をしたため、受注が大きく減っている。
(2)先行き判断理由
○「やや良くなる」
(衣料品専門店)…景気が悪いときほど初売りやバーゲンセールに客が集まるとみている。また、新生活を始める人や社会人になる人が来店する時期になるため、客単価の上昇が図れれば、景気は上向くとみている。
(都市型ホテル)…春節や国際線定期便の増便などにより、インバウンドの先行予約が団体、個人共に好調である。
(テーマパーク)…来館数が増加傾向にあるため、土産品などの買上率がアップし収益の増加が見込める。
(輸送用機械器具製造業)…半導体関連の客先からの受注が徐々に増加している。また、この先の受注の取り込みも上向き傾向にある。
(公認会計士)…小売業、サービス業、建設業は売上が回復しており、業績も好調を維持できるとみている。製造業も春頃には売上が上がり、業績が回復するとの話があるため、全体としての景気はやや上向きになるとみている。
(人材派遣会社)…来期の採用計画で採用人数を増やす企業が一定数見込める。
(民間職業紹介機関)…地域内の工場から、2月以降に増員の話がきている。
○「変わらない」
(コンビニ)…物価上昇による買い控えが続いており、来客数、買上点数共に前年より減少している。景気が良くなる要因は見当たらない。
(乗用車販売店)…新型車の投入予定もなく、オーダー再開の予定がある車もないため、受注が見込めない。
(その他専門店[ガソリンスタンド])…寒い日が続き配達灯油の販売量が増えてきたが、値上げによる買い控えを懸念している。
(食料品製造業)…年明けから各種価格高騰のダメージが出てくる。また、米国の今後の政策によっては原料の調達に影響するとみている。人や物の動きが見通せない。
(出版・印刷・同関連産業)…地方では人口減少や高齢化の加速で人手不足が顕著である。そこに追い打ちを掛けるように賃金引上げがあり、首都圏との格差は更に拡大している。経済環境が変わらない限り、何も変わらない。
○「やや悪くなる」
(一般小売店[雑貨])…1月以降も食品の値上げが続くため、客はかなり価格に厳しくなっている。イベントやハレの日があっても、雰囲気だけでは購買意欲を刺激できなくなっている。
(百貨店)…春のアイテムが展開される3月頃までは、ぜいたく品の動きは鈍る。また、物価高騰が続き、節約志向が高まるとみている。
(スーパー)…新入学を控えて物入りになるため、食費を節約する時期になる。
(家電量販店)…寒波の影響で暖房器具は好調だが、それ以外は伸びていない。節約志向が高まっている。
(観光型旅館)…燃料油価格激変緩和補助金の終了によりガソリン代が上昇することに加え、冬期間は外出を控えるようになる。
(通信業)…物価上昇が続いており、顧客の購買意欲は更に落ち込んでいる。見込んでいた年度末の予算消化による発注も厳しい状況である。
(金融業)…年末年始を過ぎて、消費者マインドが落ち着くことに加え、商品小売価格やエネルギー価格の値上がりが続く。
(職業安定所)…新規求人数が4か月連続で前年比マイナスとなっている。企業立地による新規の雇用数よりも、工場閉鎖による離職者の方が多くなっている。
○「悪くなる」
(金属製品製造業)…客先の販売不振による在庫調整後、更に生産調整が入ると予想され、受注減少が長引くとみている。
東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。 以 上
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