公益財団法人 東北活性化研究センター

今月の景気ウォッチャー調査

最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。

令和5年2月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)

表A-東北の現状判断(季節調整値)

表B-東北の先行き判断(季節調整値)

表C-東北の現状判断(原数値)

表D-東北の先行き判断(原数値)

調査結果の概要

1.今月のDI※

季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「50.2」と2か月連続で前月を上回った。前月と比較し+5.6ポイント上昇した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「51.1」と3か月連続で前月を上回った。前月と比較し+5.8ポイント上昇した。

原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「48.5」と4か月ぶりに前月を上回った。前月と比較し+6.3ポイント上昇した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「51.8」と3か月連続で前月を上回った。前月と比較し+5.2ポイント上昇した。

※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。

 

2.調査の概要

調査期間 令和5年2月25日~28日
回答者数 168/189名、回答率 88.9% (全国1,823/2,050名、88.9%)

 

3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)

(1)現状判断理由

○「良くなっている」
(食料品製造業)
…人の動きが活発化しており、土産需要がかなり戻ってきている。
(建設業)…公共工事を中心に一定の受注契約がある。
(人材派遣会社)…来期採用が活発に動いている。目先の市況の変化だけではなく、その先の需要を見越した体制の整備や組織課題の解決に向けた採用が特に活発に動いている。

○「やや良くなっている」
(百貨店)…物価高などの影響を懸念したが、新型コロナウイルスの新規感染者数の減少とともに週末の来客数が増えてきている。特に県外からの客が増加している。店頭でも客の表情や会話から、積極的な購買動向が見て取れる。
(衣料品専門店)…お悔やみの参列や出張の機会が増え、礼服やスーツを久々に着てみたらサイズが変わっていたなどの理由で、一般の客が増えており、景気が上向いている。
(家電量販店)…県が省エネ家電の買換え支援策を実施している。その効果で少し客が高額商品を買うようになっている。また、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきていることや、客が物価高にやや慣れてきていることから、買い控えから通常モードに変わりつつあるようである。
(乗用車販売店)…メーカーの車両生産ペースが上がってきている。前月は前年比92%、当月は前年同数まで回復する見通しが立っている。新車納車が進むにつれ、中古車の在庫確保も期待できる。
(住関連専門店)…今月は口コミで来た客とリピーターが多く、売上の増加につながった。しかし、振り客が少なかったため大幅な増加には至っていない。
(高級レストラン)…国内外からの旅行者も徐々に増えたことで、来客数が増加している。新型コロナウイルス感染症を余り気にしない雰囲気が出てきた。
(観光名所)…来客数は前年比300%と好調である。ただし、新型コロナウイルス感染症発生前の2019年と比べるとやっと半分まで戻ってきたところである。客は買物もよくしている。
(競艇場)…来客数は思うほど伸びていないが、高額利用客の来場により客単価が上がっている。
(輸送用機械器具製造業)…商談の引き合いが増え、見積りから受注へつながる割合が増えている。売上に関しても前月までよりは上がってくる見込みがある。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…新型コロナウイルス5類感染症への移行決定、新型コロナウイルスの新規感染者数の減少、外国人旅行者数の増加もあって、人の移動が増えている。
(新聞社[求人広告])…僅かながら求人件数は増加傾向にある。職種、雇用形態も以前より広がりがみられる。

○「変わらない」
(商店街)…新型コロナウイルスの新規感染者数はピークアウトし、飲食店を中心に人出は戻りつつあるが、冬場の電気・ガス等の価格高騰による家計費負担の増加で景気は小康状態である。
(一般小売店[酒])…観光施設への販売量は前月よりも上昇したが、飲食店への販売量は増えている実感がない。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、外食は家族で行くものという概念が定着してしまっている。家族での外食は食事をしてもアルコールは頼まない傾向が強い。
(スーパー)…物価の上昇に加え、原材料不足や鶏インフルエンザなどの影響もあり、生鮮食品の買い控えが更に進んでいる。客は特売品や販促に集中することから、価格競争が激しくなり、利益が取れない環境になりつつある。消費量の多いサバ缶などの入荷が滞るなど、商品調達の不安も大きくなりつつある。
(コンビニ)…燃料費や電気・ガス料金等公共料金の値上げ幅が大きすぎる。売上が改善しても経費の増加が著しく、利益は減少している。景気が改善している感じはない。
(一般レストラン)…物価高騰の影響で個人客の動きはまだ少ないが、新型コロナウイルス5類感染症への移行決定により、法人関係や地域の会合が増えており、小規模ではあるが会食の予約が入ってきている。
(通信会社)…来客数が増えているため販売量は伸びているが、単価が下がっている。
(一般機械器具製造業)…新規案件に関する見積依頼数に大きな変動はない。また、受注量の傾向も同様である。
(金融業)…新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことや、インバウンド需要の取り込み・拡大などの前向きの環境変化がある。一方、資源や原料の価格高騰が続いていることや一次産品自体の不足などのマイナス要素が、販売価格設定等企業経営にインパクトを与え続けている面があることは否定できない。

○「やや悪くなっている」
(タクシー運転手)…客は乗車距離を少しでも短くしようとしている。
(美容室)…来客数は前年2月と同数まで来ている。ただし、前年の2月は新型コロナウイルス感染症の影響で来客数がかなり少ない時期であり、景気は後退していると言わざるを得ない。
(職業安定所)…周辺の企業からは、一定の受注は継続しており人手不足感が続いているが、資材高騰に続いて電気料金の段階的値上げが続いており、収益が悪化しているという声をよく聞く。

○「悪くなっている」
(その他専門店[食品])…物価上昇で、し好品購入の優先順位が下がっている。
(設計事務所)…東日本大震災の復興復旧にめどが立ったことと、ウクライナ情勢や半導体不足による資材の高騰や工事期間の長期化に伴い建設を控える客が増えたことにより、民間においては様子うかがいの状態が続いている。公共投資は、発注数は減少ながらも一定数は出ているが、事業によってはダンピングが目立つ。
(農林水産業)…1月分の電気料金は前年同月と比較して3割程度上がっている。また、肥料は5割程度値上がりしており、支出のなかでは突出している。

 

(2)先行き判断理由

○「良くなる」
(乗用車販売店)
…新車の納車ラッシュの影響で、部用品の売上増加や自動車保険の加入増加など様々な副次効果が現れてきている。当社のみならず、業界では3月決算に向けて大きな期待感を持っている。

○「やや良くなる」
(商店街)
…新型コロナウイルスの新規感染者数が減少しており、新生活商戦があるため、良くなるとみている。
(百貨店)…5月の新型コロナウイルス5類感染症への移行により制限が解除され、人や金の流れが良くなるとみている。
(衣料品専門店)…今のところ、卒業式、入学式、入社式といった行事が中止になるとの情報はない。実施されれば、スーツや礼服の需要は維持できるとみている。
(家電量販店)…物価高が続きそうであるが、消費者はそれに慣れ、抵抗感や警戒心がやや薄くなっている。また、ウクライナ情勢等の世界情勢も変化は期待できない。よって、今後は景気刺激策に期待する客が増えて、消費マインドがやや明るくなるとみている。
(その他専門店[酒])…新型コロナウイルス5類感染症への移行に向けて、様々な規制が緩和されつつある。飲食店等も含めて、現在よりは回復してくるのではないかと期待している。一方で再値上げも予想されるため、予断を許さない状況は続くとみている。
(観光型ホテル)…マスク着用義務の撤廃、新型コロナウイルス5類感染症への移行により、ほぼ新型コロナウイルス感染症発生前の状況に戻るとみている。
(司法書士)…住宅ローン金利の上昇も懸念されるなか、早めの住宅取得を検討する人が増加しているようである。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…新型コロナウイルス5類感染症への移行決定、新型コロナウイルスの新規感染者数の減少、外国人旅行者数の増加など、行動を抑制する要因が減少するため、良くなるとみている。
(新聞社[求人広告])…新型コロナウイルス感染症との共存が定着して、イベント開催や集客に制約がなくなりつつあり活動が活発化しているため、良くなるとみている。

○「変わらない」
(スーパー)…しばらくは値上げが続くとみており、平均買上点数がどこまで減少するかという懸念がある。
(通信会社)…来客数が増え、販売量が伸びている状況は落ち着く。客単価は横ばいになるとみている。
(住宅販売会社)…来期に向け、受注が落ち込んでいる戸建て住宅用に建築条件付きの分譲地開発を進めることで、受注拡大を見込んでいる。
(電気機械器具製造業)…半導体不足の解消に関しては、各社ある程度盛り込まれた状況になっていることから、この先数か月では大きな変動は生じないとみている。
(輸送業)…新型コロナウイルスの新規感染者数が落ち着いてきたところであるが、全体的に荷動きが良くない。2~3か月先も余りいい情報がない。大手企業では大幅な賃上げの話もあるが、賃上げ分は物価高騰の補填だけに終わり、期待するほど消費が伸びないのではないかとみている。中小企業にとっては、賃上げによる人件費増を上回る景気の回復を期待したい。
(人材派遣会社)…サービス業を中心に求人数は増加傾向にあるが、それ以外の製造業などは鈍化傾向にある。景気が上向くところとそうでないところが混在している状況であるため、結果として景況感は変わらないとみている。
(職業安定所)…資材価格やエネルギーコストの高騰は、企業において改善につながる材料が見当たらないことから、当面厳しい状況は続くとみている。

○「やや悪くなる」
(競艇場)…新規客を増やさないことには安定した売上はキープできない。今後は来場促進イベントに力を入れていき、再来客を獲得することが必要になってくる。
(出版・印刷・同関連産業)
…地方では景気回復の実感もなく、環境も何一つ変わっていない。企業業績は目に見える改善もなく、収益悪化の影響が日増しに現れてきている。エネルギーコストの上昇は待ったなしの状態である。地方、中小企業への早急な政府の対策を強く願っている。
(金属製品製造業)
…ウクライナ情勢が原因で海外、特にユーロ圏の販売が伸び悩んでおり、先が見えない状況にある。これまでの動きから、更なる減速を予測せざるを得ない。

○「悪くなる」
(農林水産業)
…家庭用電気料金、ガス料金、果物を生産するための燃料費や肥料価格などの高騰により、農家にとっては今までになく大きな支出となるため悪くなるとみている。

東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。  以 上

 

データのダウンロード

 

東北・新潟のキラぼし by 東北活性研 Facebook

東北・新潟のキラぼし by 東北活性研 facebook

東北・新潟のキラぼし by 東北活性研 Twitter