最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。
令和8年8月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)
表A-東北の現状判断(季節調整値)
表B-東北の先行き判断(季節調整値)
表C-東北の現状判断(原数値)
表D-東北の先行き判断(原数値)
調査結果の概要
1.今月のDI※
季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「42.7」と2か月連続で前月を上回った。前月と比較し+0.4ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「46.3」と5か月連続で前月を上回った。前月と比較し+0.8ポイント上昇した。
原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「44.5」と4か月連続で前月を上回った。前月と比較し+0.6ポイント上昇した。
(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「45.2」と2か月連続で前月を下回った。前月と比較し▲0.5ポイント低下した。
※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。
2.調査の概要
調査期間 令和8年8月25日~31日
回答者数 181/189名、回答率 95.8% (全国1,802/2,050名、87.9%)
3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)
(1)現状判断理由
○「やや良くなっている」
(一般小売店[医薬品])…お盆休みが長く帰省客が多かったようで、数年ぶりに来店した客が多くみられた。
(都市型ホテル)…8月はイベントが多数あり、インバウンドよりも国内客の動きが良くなっている。
(観光名所)…来客数は3か月前の伸び率には及ばないものの、前年を上回っている。物価高の影響はみられない。
(競艇場)…来客数は変わらないが、客単価が上昇している。大口客が数日来場したためとみている。
○「変わらない」
(スーパー)…お盆商戦が終わると消費が落ち込む時期に入る。ナフサ関連の影響やメーカーによる値上げ分の価格転嫁により、平均単価は前年比103%と上昇しているが、販売点数は前年比98.3%となっている。
(住関連専門店)…早い段階で完売するマンションもあれば、販売に苦戦している物件もある。立地がよく資産価値のある物件は売れている。客の様子からは金の使い方などに差がうかがえる。全体でみると変わらない。
(その他専門店[酒])…来客数はお盆を挟んで小康状態が続いたものの、帰省客の来店や猛暑が続いたことにより商品に動きがみられた。
(通信会社)…夏季休暇により営業日数が少なかったため契約数は減少したが、既存利用者の解約数も少なかったため、契約者数は純増となっている。特にインターネットサービスの解約者数の減少が目立っており、夏期間のデータ通信量も大幅に増加している。
(美容室)…常連客の高齢化に伴い、来店頻度の低下や来客数の減少がみられる。
(その他住宅[リフォーム])…住宅設備機器はエアコンの省エネ基準変更前の買換え需要に落ち着きがみられる。リフォームは物価高による買い控えや原材料、資材の価格高騰の影響から、低迷が更に進んでいる。
(食料品製造業)…取扱商品の原料価格が高止まりしており苦戦を強いられている。また、土日の観光客と平日の地元客、サラリーマン客との差が大きい。
(木材木製品製造業)…見積りの引き合い件数は前月より増加しているが、これは季節要因によるところが大きい。一方で、実際の受注確定や現物の出荷・納品といった荷動きに伸びはみられず、依然停滞している。足元の引き合い増加が本格的な需要回復につながるかは不透明である。
(公認会計士)…顧客の月次、決算状況から判断している。小売業、サービス業は業績が安定している顧客が多い。一方、製造業、建設業は業績がまちまちだが、特に建設業では悪い顧客が多い。人手不足や資材価格の高騰などが影響し、利益を出しづらい状況にある。
(職業安定所)…有効求職者数は増加、有効求人数は減少が続いている。新規求人数は製造業が5か月連続で前年同月を上回っている。半導体関連を中心に活況であり、業種を問わず求人の申込みがある。
(その他雇用)…物価高の影響により、卸売小売業で求人を控える動きが続いている。また、製造業からは資材価格の上昇分を単価に上乗せできないという声が上がっている。
○「やや悪くなっている」
(コンビニ)…今年の夏は例年のような気温上昇がみられなかったことから来客数に影響が出ており、季節トレンドに沿った推移とはなっていない。
(衣料品専門店)…梅雨明けが遅れ、夏らしさを感じる日が少ないままお盆を迎えたことで、夏物商材を購入する消費者が減っている。
(家電量販店)…8月は夏物商材の構成比が高く、気温の高い日が続かなければ、売上、販売量共に伸びなくなる。前半は気温が高く、エアコンを中心に夏物商材がにぎわいを見せ、販売量だけでなく来客数も伸びていた。しかし、お盆を過ぎた頃から台風など天候の悪い日が続いたため、販売量、来客数共に減少している。特に夜間の気温低下が激しく、熱帯夜がほとんどなかったため、エアコンなど夏物商材が失速している。
(高級レストラン)…来客数は低水準で推移しており、緩やかな減少傾向が続いている。
(タクシー運転手)…スーパーへの行き帰りの車内などで、客とお買い得品や節約について話すことが増えている。また、外食に出掛ける人が減っている。
(ゴルフ場)…予約数が減少している。
(設計事務所)…県内官公庁における発注件数や予算規模が減少しており、地元設計事務所を取り巻く環境は悪化している。
(農林水産業)…果物の取引価格は例年並みである。しかし、資材費、人件費の増加により利益率が下がっている。
(出版・印刷・同関連産業)…主力である印刷の仕事が減っている。
(電気機械器具製造業)…主力であるノートパソコンの受託生産においては、受注数が減少傾向にある。メモリやSSDなどの部材高騰による価格改定の影響か、大口顧客が慎重になっている。
(求人情報誌製作会社)…社会情勢や円安を要因とした資材等の原価高騰により、予算が足りず求人広告等に費用を掛けられない企業が多くなっている。
○「悪くなっている」
(土石製品製造業)…公共事業、民間事業共に発注工事が大幅に減少しており、厳しい状況である。
(2)先行き判断理由
○「良くなる」
(都市型ホテル)…紅葉シーズンに入るため、国内客、インバウンド共に増加するとみている。
○「やや良くなる」
(百貨店)…催事が多く、売上が伸びる時期になる。
(衣料品専門店)…秋冬物が本番の時期を迎えるため期待できる。
(一般レストラン)…9~10月の予約状況から、やや良くなるとみている。暑さが若干落ち着くため人出も増える。
(出版・印刷・同関連産業)…販売促進用のカレンダーなどが動く時期である。また、年末に向けてイベントや広告も増える。
(輸送用機械器具製造業)…半導体関連事業の受注売上は、2~3か月先も好調が続く見通しである。
(通信業)…下期予算が動き出す時期のため、生成AIの普及やデータセンター需要が上昇する見込みである。
○「変わらない」
(一般小売店[酒])…10月には酒税法改正による酒類の価格改定が控えている。客先の飲食店でもドリンク全般の価格見直しが求められる。主力商品であるビールの値下がり後、それが販売価格にすぐに反映されるかは別問題で、小売店、飲食店共に様々な対応が求められている。その影響が一般消費者にどこまで波及するのか不透明である。
(スーパー)…9月以降も相当数の商品で値上げが予定されているため、買上点数の減少はしばらく続くとみている。
(観光型旅館)…悪くなる要因だけが多い。消費に回す余裕がないとみている。
(一般機械器具製造業)…案件は増えているが、なかなか受注に至らない。いまだ入手に時間の掛かる製品もあり出荷できないものもある。
(輸送業)…中東情勢や円安の影響による原油価格の高止まり、物価高は続くとみている。また、高い水準での最低賃金引上げは、経営資源が限られた中小零細企業にとって、倒産リスクの増加や事業縮小を招く可能性があり、更に危機感が強まる。
(その他企業[協同組合])…IT化や自動化によって生産性を高めている企業もあるが、多くの中小企業ではそのための資金や人材が不足している。さらに、慢性的な人手不足や働き方改革への対応、流通コストの増加などから、受注が好調でも、生産体制が追い付いていない状況にある。このため、現状維持が精一杯とみている。
(人材派遣会社)…求人数は減少しているが、大手企業を中心に実働部隊として30代ぐらいまでの層で募集するケースは多くなっており、それを複数の会社で取り合う構造になっている。企業は、漠然と若手を求めるのではなく、募集に当たり求める役割や要件を明確化する必要はあるが、そのような動きが取れる企業は限られているため、当面は現状のままとみている。
(職業安定所)…物価高が続くなか、最低賃金引上げによる人件費の上昇が見込まれることから、収益の悪化を避けるため、求人数が大きく増加することはないとみている。
○「やや悪くなる」
(コンビニ)…10月から最低賃金が引上げられるが、経営者にとっては上昇分がそのまま経費の増加につながるため、経営が厳しくなる可能性がある。
(観光名所)…予約状況は前年並みである。振り客の落ち込みはこの先も変わらず、売上等に影響が出るとみている。
(美容室)…石油関連商品の値上がりは続き、美容関連商品の販売価格も上昇が続く見込みである。消費抑制の方向へ進んでいる。
(求人情報誌製作会社)…県内に景気が活性化するような材料はない。最低賃金引上げによるベースアップ、社会保険料負担の増加など費用面の負担は増す。
○「悪くなる」
(農林水産業)…最近の米生産に係る農業機械、資材、燃料等の値上がりと、令和8年産新米の農業団体概算金の大幅引下げにより、収益は大幅に縮小することが予想される。
東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。 以上
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