公益財団法人 東北活性化研究センター

今月の景気ウォッチャー調査

最新の内閣府景気ウォッチャー調査結果についてのレポートを紹介します。

令和7年8月の景気ウォッチャー調査結果(東北分)

表A-東北の現状判断(季節調整値)

表B-東北の先行き判断(季節調整値)

表C-東北の現状判断(原数値)

表D-東北の先行き判断(原数値)

調査結果の概要

1.今月のDI※

季節調整値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性 季節調整値)
現状判断DIは「47.6」と4か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲0.4ポイント低下した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性 季節調整値)
先行き判断DIは「47.7」と2か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲2.5ポイント低下した。

原数値
(1)現状判断(3か月前との比較、方向性)
現状判断DIは「48.7」と3か月連続で前月を上回った。前月と比較し+0.1ポイント上昇した。

(2)先行き判断(2~3か月先の見通し、方向性)
先行き判断DIは「46.9」と4か月ぶりで前月を下回った。前月と比較し▲1.7ポイント低下した。

※DI(Diffusion Index)について…50を基準とし、50を超えると景気が良い方向にあることを示す。

 

2.調査の概要

調査期間 令和7年8月25日~31日
回答者数 177/189名、回答率 93.7% (全国1,822/2,050名、88.9%)

 

3.特徴的と思われる判断理由(ウォッチャーのコメントから抜粋)

(1)現状判断理由

○「良くなっている」
(都市型ホテル)…夏休みで家族連れが多く、単価が上昇している。

○「やや良くなっている」
(百貨店)…来客数及び化粧品の売上は3か月前と比べ増加している。帰省等の土産需要は減少している。お中元は簡略化する客が多く、前年割れしている。
(コンビニ)…週末と夜間の人の動きが良好である。暑い夏ということで、飲料の売行きも好調である。
(一般レストラン)…来客数が予想よりやや多くなっている。夏休みやお盆で帰省した際など特別なときに当店を利用する客が増えたことが要因とみている。
(観光型旅館)…夏休み期間は来客数が前年比105%となっている。曜日並びも良く、稼働率は連日98%以上である。
(競艇場)…今月前半は売上が低迷したが、お盆明けくらいから大口の客が来場するようになり、単価が跳ね上がっている。
(金融業)…物価高や原料価格の高騰により、消費者の購買意欲が低下している一方、観光関連人口の流入は相応のペースを維持している。駅前等の人出は従前より多くなっている。
(経営コンサルタント)…日米の関税問題や米の価格高騰等が一定の落ち着きをみせ、消費者の不安感が和らいでいる。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…暑い日が続いており、飲料など夏物商材の動きが良く、受注量、販売量共に前年を上回っている。

○「変わらない」
(その他専門店[ガソリンスタンド])…補助事業により販売価格は安定している。猛暑による燃料消費はそれほどでもなかった。
(美容室)…暑いため高齢者は外出を控えている。来店頻度が低い状況は変わらない。
(その他住宅[住宅展示場運営会社])…成約棟数が多い状態で推移している。
(輸送業)…取扱貨物は、米が引き続き順調なほか、猛暑で飲料が増加している。一方、山口・九州地区の大雨により鉄道貨物輸送に障害が発生し、荷主工場からの出荷に影響を及ぼしている。
(通信業)…客からの値下げ要請が常態化しており厳しい。
(職業安定所)…新規求人数は前年比では伸びを欠いている。有効求人数は減少が続いている。
(その他雇用)…建設業など人手不足の業種では求人活動があるものの、卸売業や小売業などでは物価高による買い控えから従業員を減らす動きが見られる。

○「やや悪くなっている」
(商店街)…猛暑の影響で高齢者を中心に外出を控える傾向にあり、来街者数はやや減少している。物価高は続いており、全体的に家計が苦しい状況である。
(スーパー)…客単価は依然として前年を超過しているものの、来客数がやや低下している。
(乗用車販売店)…販売台数はほぼ前年並みだが、売れ筋も低価格車中心で収益を上げづらい構造になっている。物価高の影響で顧客の値引き要求も一段と強くなっており、1台当たりの収益減少も全体の収益減少の要因になっている。
(住関連専門店)…先行きに不安があるなか、必要不可欠なもの以外は購入を先送りしたり、購入するにしても予算を削ったりする人が多くなっている。
(旅行代理店)…東北全体では、最大ボリュームの8月でも販売量は前年比約85%である。外国人宿泊者数も伸びておらず、東北発の旅行商品の販売も大阪以外は良くない。
(テーマパーク)…来客数は、3か月前は目標値の約94.8%だったが、今月は同約88.4%と更に下回っている。
(土石製品製造業)…販売量は6か月ぶりに前年比微増となったが、依然厳しい状況である。

○「悪くなっている」
(一般小売店[医薬品])
…毎日大変暑く、日中は人が出歩いていない。お盆の頃は里帰りの人々で多少にぎわったが、売れる商品は経口補水液など飲料だけで、客単価は非常に悪い。また、今年は観光客が少ない。
(輸送用機械器具製造業)…客先の動きが鈍い。この先一部に動きが出るとの情報はあるが、全体的に明るい状況にはない。
(人材派遣会社)…8月に入り停滞感が強まっている。前年はお盆明け以降、求人数、求職者数共に増加傾向がみられたが、今年は求人数が減少し、求職者もフルタイムで働ける人が枯渇している。。

 

(2)先行き判断理由

「やや良くなる」
(百貨店)…人気イベントの開催予定があり、来客数の増加が見込まれることから、売上の増加を予想している。生鮮食品等は物価高の影響で苦戦が予想される。
(家電量販店)…客が値上がりに慣れてきたため、買換え需要では単価の上昇が見込まれる。
(農林水産業)…農業団体から支払われる米の概算金が、前年度よりも上昇する見込みである。
(広告代理店)…東京でメディア市況が活況を呈しており、今後は当地域にも波及してくると予想している。

○「変わらない」
(その他小売[ショッピングセンター])
…手取り額が増える見通しが立たないなか、食品を中心に値上げが続いており、客の節約志向は続く見通しである。特別な日には金を出す、メリハリ消費には期待できるものの、その対象となるイベントの選別が以前よりもシビアになっている印象を受ける。
(一般レストラン)…物価が更に上がるため、景気が良くなることはないが、その状態に慣れて、それが普通になっていくとみている。
(観光名所)…夏休み期間中は天候にも恵まれ、客単価の上昇もあり、大変良い結果となっている。予約状況も良いため、現在のやや良い状況が続くとみている。
(一般機械器具製造業)…引き合いが減少しており、販売価格を抑えなければ受注できないような状況にある。各社、設備投資の話題も少ないため、2~3か月先も景気は変わらないか、やや悪くなるとみている。
(輸送業)…物流の2024年問題で一部荷主との料金交渉に進捗があり、売上は増加傾向で推移している。反面、燃料価格の高止まり、人件費・物価高などで輸送原価が上昇し、コストも増加している。また、主要貨物である機械装置の出荷予定が見通せない状況が続いている。
(金融業)…観光関連業種にとってはプラスとなる時期である。一方、米やりんご、ホタテやイカなど一次産品の収穫に関しては質、量共に心配される状況であり、地元経済への影響が懸念される。
(経営コンサルタント)…気候変動が農業に与える影響について注視していく必要がある。
(その他非製造業[飲食料品卸売業])…10月には日本酒の値上げが相次ぐ。需要が伸びる要素は少ない。
(人材派遣会社)…米国の関税政策の影響は依然として不透明であり、足元の求人数は減少傾向にあることから、景気が上向くとは言い難い。大手企業を中心に賃上げできているところもあるが、中小企業は十分ではない。そもそも物価上昇分も吸収できていない。消費を喚起する施策が必要である。
(職業安定所)…米国の関税政策の影響による自動車関連製品等の減産と、最低賃金引上げによる中小企業の人件費増加の影響が懸念される。

○「やや悪くなる」
(商店街)
…現在の暑さも2~3か月先には落ち着くが、米国の関税政策の影響が出始めることで、消費はかなり減退するとみている。
(スーパー)…商圏内の環境は余り変わらないが、商品の値上がりは続く見通しであり、消費者の買い控えが懸念される。
(衣料品専門店)…物価高騰や米国の関税政策の影響で消費マインドが低下するため、買い控えの傾向は今まで以上に強くなる。
(乗用車販売店)…市場環境から物価高騰が予想される。販売車種の価格改定が予定されており、客の動きや販売に影響が出るとみている。
(その他専門店[酒])…全体的に商品価格の上昇傾向が続いており、消費者の財布のひもはますます固くなっている。特にこれから米価が異常に高くなるなどすれば、その影響は計りしれない。消費者の米離れや国産米を使わなくなる傾向が出てくることが危惧される。
(新聞社[求人広告])…物価上昇に県内企業の業績が追い付いていない。

東北地域に関する解説は、当センターの責任でまとめたものです。  以 上

 

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