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認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭による映像教育活動 ー山形国際ドキュメンタリー映画祭2025会場での上映ー

山形市内を会場に開催された「山形国際ドキュメンタリー映画祭2025」(主催:認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭。以下、同法人という)の会場で、10月13日、子どもたちが制作したストップモーション・アニメーションの映画が映画祭の会場で上映されました。​


実施レポート

​山形国際ドキュメンタリー映画祭2025会場での上映会

【開催日時】2025年10月13日

【実施内容】山形国際ドキュメンタリー映画祭2025会場での上映

公式タイムテーブルリスト

「山形国際ドキュメンタリー映画祭2025」タイムテーブルから抜粋


【実施内容】山形国際ドキュメンタリー映画祭2025会場での上映

上映会当日の朝、会場となる「フォーラム山形」の前に、緊張した面持ちの子どもたちとその家族が集まりました。同法人の岡部愛さんと探究教室ESTEMの田口雄太さんからは、改めて上映会での発表の流れや注意事項が伝えられました。子どもたちは緊張しながらも発表を成功させようと、自主的に発表練習を始めました。その様子を見ていた岡部さんや田口さんは「自然体でいこう」「リラックスして、楽しみながらやりましょう」と声を掛け、子どもたちをサポートします。

上映風景1

「フォーラム山形」前での発表練習の様子

上映会場となるホールに入ると、しばらくして今回の映画祭に参加中の映画監督アンマール・アル=ベイク氏が来場しました。アル=ベイク監督はシリア出身の作家・美術家で、映画祭では「トレパネーション」という作品がインターナショナル・コンペティションに選出されました。
アル=ベイク監督は、ホールに入ると気さくに子どもたちに挨拶し、「私は君たちから映画を教わりにきました」と話しかけました。「10年後、映画監督になりたい人はいますか?」とアル=ベイク監督が問いかけると、何人かの子どもたちが手を挙げ、「You Tuberになりたい!」など将来の夢を伝えました。子どもたちも「どこから来たんですか」などと質問し、アル=ベイク監督は「シリアからきました。ダマスカスのジャスミンのTシャツを着てきました。とても良い匂いがするんですよ」と答えるなど、交流が生まれていました。

上映風景2

アル=ベイク監督(画面中央)と子どもたちの交流の様子

また、会場には、合宿以来の再会となる映像クリエイターの稲吉翔平さんと、映像制作を行う株式会社KUNK代表・濱田直樹さんも来場し、子どもたちと笑顔で交流を図りました。
上映開始の時間になると、会場は立ち見客が出るほど多くの人が集まりました。岡部さんからは、今回の活動は映像文化普及のための事業の一つであること、子どもたちが「地域の魅力発見」をテーマに映像を制作したことなどが観客に伝えられました。
そして、2グループの映画が大きなスクリーンにそれぞれ映し出されると、観客は創造力豊かなストーリーに引き込まれ、上映が終わると会場は大きな拍手に包まれました。

上映風景3

上映後、グループごとにスクリーンの前に立ち、映画の見どころや制作した感想について発表しました。上映会に向けて何度も発表練習をしてきた子どもたちは、リラックスした様子で観客の前に立って発表を始めました。子どもたちは、「ストーリーを考えないで作り始めてしまったため、追加の撮影が多くなり苦労しました」「最初はみんながばらばらでチームワークができていなかったけれど、少しずつ自然に役割ができて協力できました」「みんなで作ったからいろいろなアイデアが出ておもしろい映画ができました。これからは場所や表現方法を変えて、他の土地の魅力も発信してみたいです」など、映像制作を通じてそれぞれが感じたことを発表しました。そして、撮影に協力した蔵王温泉の地域の方々や講師の稲吉さん、濱田さん、そして合宿に参加させてくれた両親への感謝の言葉で締めくくりました。

子どもたちの映画を鑑賞し、発表を聞いたアル=ベイク監督からは、「このようなすばらしい映像を見せていただいて、とても幸せに感じています。みなさんの発表で特に素晴らしかったのは、多くの人にお礼の言葉を伝えていたことで、それは一番大切なことです」「みなさんは、映像のストーリーを考えずに作り始めてしまったことを反省していましたが、最初からシナリオをきちんと設定する必要はないと思います。なぜなら、編集作業の中で素晴らしいものを見つけることもあるからです」などと、感想やアドバイスを伝えました。
子どもたちの発表や監督のアドバイスを踏まえて改めて映画を鑑賞するため、もう一度上映を行ったのち上映会は終了となりましたが、会場の外でもアル=ベイク監督と子どもたちの交流は続きました。
アル=ベイク監督は子どもたちにサインや連絡先を渡し、「分からないことがあったらいつでも連絡してね」と伝えました。

上映風景4

発表を終えた子どもたちの表情は、達成感と自信に溢れていました。子どもたちからは、「上映会では、みんなに見てもらい、監督に『これからも映画を作ってね』と言ってもらえて、とても嬉しかったです」「本物の映画監督になった気分でした。これからも映像を作ってみたいです。とても良い経験になりました」といった声があり、アル=ベイク監督の言葉が子どもたちの大きな励みになったようでした。また、保護者からも「子どもの可能性を発見することができて、すごくありがたいなと思いました」「監督から直接コメントをいただき励みになりました」などの感想が寄せられました。


認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭 理事 岡部さんの振り返り

子どもたちは上映会に向けて主体的に編集作業や発表練習に取り組む中で、責任感や協働性、発信力が育まれ、合宿からの成果が表れたと考えます。素材の撮影から編集、上映までの過程を体験することで、「どうすれば見やすい映像になるのか」「角度や構図を考えることが大切」など映画制作に関して学べたという声もあり、「映画のまち」の文化を子どもたちにつなげられたと感じています。上映会当日は、アンマール・アル=ベイク監督による講評や観客との交流もあり、子どもたちが社会に発信する意義を実感する貴重な機会になりました。特に、監督から直接コメントをもらえたことが強く印象に残ったという声が多く寄せられ、次の創作意欲へつなげていく様子も見られました。地域の方々や仲間とともに得た経験が、今後の学びや創作活動の糧となることを期待しています。

岡部さん 写真

探究教室ESTEM 田口さんの振り返り

上映会のために、子どもたちは8月の映像制作合宿から約2カ月かけて編集作業や発表練習を重ね、主体性をもって映像制作に取り組むことができました。映像制作の中でチームワークが生まれ、仲間との交流も広げることができました。ナレーションの録音や音楽の選定、エンドロールづくりまで、自分たちの手で仕上げた映画は、子どもたち一人ひとりの努力の結晶だと思います。
上映会当日は、子どもたちが楽しんでいる様子が見られたので、とてもよかったと思います。大きなスクリーンに映画が映し出されたときの、子どもたちの目の輝きや誇らしげな表情が印象的でした。
これからも、子どもたちが「学びを形にして発信する」という体験を大切にしながら、表現の場を広げていきたいと考えています。

田口さん 写真

本支援の振り返り

当センターでは、2025年度の地域活性化プロジェクト支援事業において、映画のまちとして知られる山形市内において長年にわたり映画文化の振興に取り組んでいる「認定NPO法人山形国際ドキュメンタリー映画祭」による映像教育活動を支援しました。
映像制作合宿では、子どもたちは地域住民や参加者同士と交流を図るとともに、蔵王温泉街の魅力を再発見することができました。また、相手に自分の意見や考えを伝えることの大切さや難しさを実感するとともに、協力し合いながら最後までやり遂げたことで、「単なる映像制作」を超えて、仲間との協働、表現の難しさ、自分のアイデアが形になる喜びが体験できる機会を提供することができました。
上映会では、一般来場者、映画祭関係者、海外から招聘した映画監督など、子どもたちは多くの人と交流を深めることができました。山形市民に親しまれている映画館「フォーラム山形」で上映が行われたことで、多くの地域住民や映画祭参加者が映画を鑑賞し、国内外の人々が交流する機会が生まれ、地域における文化的な賑わいの創出にもつながったものと考えています。
更に、今回の支援事業において制作された子どもたちの映画がアジア最大級のドキュメンタリー映画際である「山形国際ドキュメンタリー映画祭2025」のプログラムとして上映されたことは、映画祭来場者の関心を高める契機となりました。
また、アル=ベイク監督と子どもたちが交流する様子が国際的なテレビ番組で紹介されたことにより、今回の映像教育活動における社会的意義や映画祭の魅力が広く伝わり、今後の映画祭の機運醸成につながるものと考えます。


映像教育活動で制作した映画紹介(探求教室ESTEM YouTubeチャンネルへ遷移)

・映像制作キャンプ2025 A班映画:「蔵王温泉に行ったので紹介も兼ねて旅行してきた」
https://www.youtube.com/watch?v=vVAbcMKnbSs

・映像制作キャンプ2025 B班映画:「蔵王温泉 うちゅう人でも楽しい」
https://www.youtube.com/watch?v=KZZqAd2B0Eo