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【REPORT 2024年11月12日開催】一般社団法人ICTてらこやによるフリースクール「みんなのまなびば ぐるぐるの森」でのプログラミング体験事業​

周囲の木々が赤や黄色に染まった11月、一般社団法人ICTてらこや(以下、ICTてらこや)によるフリースクール「みんなのまなびば ぐるぐるの森」(以下、ぐるぐるの森)でのプログラミング体験事業が開催されました。今回は、「とうほくプロコン2024」に応募する作品を制作するためのヒントを求めて、ぐるぐるの森がある盛岡市動物公園ZOOMO(以下、ZOOMO)を散策しました。ICTてらこや代表理事・荒木義彦さんがキーワードとして掲げる「自然とデジタルの融合」を体現した、第5回の様子をレポートします。​


実施レポート

​フリースクール「ぐるぐるの森」でのプログラミング体験 第5回​​

【開催日時】2024年11月12日​

【実施内容①】盛岡市動物公園ZOOMO内の散策​

【実施内容②】「とうほくプロコン2024」に応募する作品の企画​


実施内容① 盛岡市動物公園ZOOMO内の散策​

11月に入り気温が低くなってきたため、ぐるぐるの森では場所を外のテラスから飲食店やショップが入った屋内のZOOMO BASEに移動して活動しています。​
これまでのプログラミング体験を通して、「とうほくプロコン2024」に向けて作品を制作することに決めた子どもたち。プログラミングが好きになり、自宅にパソコンを持ち帰って自主的に作業をしている子どももいるそうです。その中の一人が、作りたい作品の構想を紙に書いてきました。思いもよらないアイデアに、荒木さんもぐるぐるの森代表・山内まどかさんも感嘆の声をあげます。今回はそのアイデアをかたちにするため、ヒントを探しにぐるぐるの森があるZOOMOを散策することにしました。

里山の中に立ち、園内にも豊かな自然を有するZOOMO。ぐるぐるの森では、毎日のように園内を散策し、動物や自然と触れ合っているそうです。​
子どもたちは、森の中を進むNATURE LOOPとよばれるルートへ進んでいきます。草木が生い茂る道の中を、楽しそうに歩く子どもたち。途中の「カエル池」に立ち寄り、どんぐりを探し始めました。​

たくさんのどんぐりを拾ったあと、クリの木があるポイントへ向かいます。慣れ親しんだ場所でも、子どもたちは「大きな葉っぱがある」「こんなところに穴が開いているよ」と、小さな発見を繰り返していきます。その様子を見て、「机に座って学ぶ勉強ももちろん大切ですが、生きていく上で必要なことは自然体験から学ぶことも多いと改めて感じますね」と荒木さん。山内さんも、「いろいろな学びのかたちがあって、そこから子どもたちの得意なことを伸ばしていけるような学びを選べるといいですね」と話します。​

散策の中で、イヌワシやゾウ、ヤギ、カンガルーなど、多くの動物も見ることができます。子どもたちは動物の名前もすっかり覚えて、ふれあいコーナーでは動物から近づいてくるなど、なじんでいる様子が伺えます。また、傷ついて飛べなくなっていたトンボを助けてあげるなど、他者を思いやる心も育まれています。​

大きな松の木の下までくると、子どもたちが木を見上げ始めました。木には大きな松ぼっくりが生っています。「このあいだ見つけて、みんなで採る方法を考えていたんだよ」と子どもたち。木の下をよく探すと、松ぼっくりがいくつも落ちているのを見つけました。子どもたちは「親方、こっちに来て!」「まどかさん、これ見て」と話しかけるなど、荒木さんや山内さんとの信頼関係が築かれていることが分かります。​

松ぼっくりを拾ったあと、松やにで手が汚れてしまいましたが、荒木さんは「松やにって何でできているんだろうね」と子どもたちの興味を掘り下げます。山内さんも「これが化石になると琥珀になるんだよ」と話を広げると、子どもたちも松やにの匂いを嗅ぎ、手についた松やにを取る方法を考え始めました。​


実施内容② 「とうほくプロコン2024」に応募する作品の企画​​

約1時間半かけて園内をまわり、たくさんのどんぐりや松ぼっくりを集めることができました。ZOOMO BASEに戻ると、集めた松ぼっくりやどんぐりを見ながら、改めて「何がしたいのか、どんなものが作りたいのか」を考えていきます。

まずは、収穫した松ぼっくりを家に持ち帰り、工作に使えるように松やにを落とすことにしました。「アイデアや制作の過程で困ったことがあったら、オンラインでつないで作戦を考えよう」と荒木さん。次回のプログラミング体験に向けて、アクションやアイデアを考えることになりました。作品制作が、本格的に稼働しようとしています。

また、ZOOMO BASEに残っていたスタッフは、今回初めてプログラミング体験に参加する子どもに、テキストをもとにプログラミングを教えていました。みんなが散策から戻ったころには、荒木さんが不在でもフルカラーLEDライトを点灯させることができました。「現代の子どもたちは忙しく、学校以外で自由に使える時間が限られています。地域の方々が体験できる場を作り、子どもたちが気軽に行けるようになれば、体験の機会はもっと増えるはず。さらに地域全体のリテラシーも向上する良いサイクルができあがります」と荒木さん。ぐるぐるの森では、その大きな一歩が始まっています。​


初参加の子どもとぐるぐるの森スタッフでライト点灯に成功!


ICTてらこや代表理事・荒木さんの思い​​

これまで、①ICT体験 ②とうほくプロコン ③ロボサバ-ROBOT SURVIVAL PROJECT- ※を軸に、子どもたちにプログラミング体験の機会を提供してきた荒木さん。プログラミングは、文法ではなく「伝わること」が大切だと話します。「自分がやりたいことを『プログラミングを使って自分の手で作り出せる』という体験を広めるためには、まずは地域の大人に必要性を理解していただき、体験できる場を増やすことが必要です。地域の大人や企業と連動し、地域課題の解決のためにプログラミングを用いることで、DX(デジタルトランスフォーメーション)にもつながります。これから必要とされるDXを自分事として捉えることが重要になると考えます」

※「つくる」「学ぶ」「競う」の3つの体験を軸に、モノづくりやプログラミング体験を通して子どもたちのクリエイティブな力を育む総合プロジェクト​