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【REPORT 2024年9月10日開催】一般社団法人ICTてらこやによるフリースクール「みんなのまなびば ぐるぐるの森」でのプログラミング体験事業

2024年9月、一般社団法人ICTてらこや(以下、ICTてらこや)によるフリースクール「みんなのまなびば ぐるぐるの森」(以下、ぐるぐるの森)でのプログラミング体験が行われました。今回は、フルカラーLEDライトをさまざまな色に光らせるプログラミングに挑戦します。「プログラミングを通して、生きる力を身に付けてほしい。そのために、子どもが主体的に動けるよう、大人は後ろから見守ることも大切です」と、ICTてらこや代表理事・荒木義彦さん。その思いをメソッドにした、第3回のプログラミング体験の様子をレポートします。


実施レポート

フリースクール「ぐるぐるの森」でのプログラミング体験 第3回

【開催日時】2024年9月10日​

【実施内容①】教材の説明・組み立て

【実施内容②】フルカラーLEDライトを点灯させるためのプログラム作成


実施内容① 教材の説明・組み立て

今回初めて参加する子どももいたため、冒頭、荒木さんは前回の体験で使ったロボットを見せることにしました。その準備をしている最中、前回のロボットが動く様子を撮影していた子どもが、その動画を見せてくれました。「子どもにとって無駄な経験は何もない」という荒木さんの言葉通り、子どもたちの自由な行動があとから役に立ったり、子どもたち自身が考えて活用していったりするようです。

まずは、プログラミング専用子どもパソコンの「IchigoDake」と拡張基板を組み合わせることから始めました。拡張基板とは、コンピュータの機能を拡張するためのもので、荒木さんは体験内容に応じてあらかじめ設定し、大人がサポートする部分の負荷を減らしたり、体験のスムーズな運営につなげたりしています。
子どもたちが「IchigoDake」と拡張基板を組み合わせる作業を終えると、「今日はここから自分たちでやってみよう。テキストを見ればできるはずだよ」と荒木さん。今回は、子どもたちが自分で学習を進められるようなカリキュラムを準備していました。

テキストの冒頭には、「色の三原色」と「光の三原色」の説明とともに、「色の三原色を混ぜると黒のような色になる。それでは光の三原色である緑・赤・青を混ぜると何色になるかな?」という問いかけが書かれています。子どもたちは「黄色かな」「科学館で白だと習った気がする」と自分の考えを話し合います。荒木さんが「このフルカラーLEDを使って実際に自分たちで試してみよう。テレビの画面や電光掲示板も、顔を近づけてみるとこのLEDライトが集まっているんだよ」と声を掛けると、子どもたちはさっそくテキストを読み、キーボードを打ち始めました。


実施内容② フルカラーLEDライトを点灯させるためのプログラム作成

テキストには、光の三原色である「赤」と「青」を点灯させるためのプログラムが記載されています。子どもたちはキーボードを打ちながら、「ライトが点かない。どうすればいいの」「青を点けようと思ったのに赤が点いた」と自分から大人にサポートを求めます。荒木さんは「できないときには必ず理由があるはず。エンターキーやF5キーを打ったか確認して、もう一度やってみよう」と、気を付けるポイントを伝えます。

赤と青に光らせることができたら、次は緑に挑戦です。しかし、テキストに緑を光らせるプログラムは書かれていません。赤と青のプログラムから、緑に光らせるプログラムを考えるのです。苦戦する子もいる一方、早々にクリアして次の課題に取り組む子もいます。荒木さんは、「ここでは、学校の授業のように一斉に進めるのではなく、子どもたち一人ひとりが自分のペースで進めることができます。本来であれば、この役割を地域の大人たちが担い、子どもと一緒に考えてあげる環境が理想だと思います」と話します。

緑のライトも点灯できたら、次は「赤・緑・青」を混ぜた色に光らせることに挑戦です。まずはテキスト通り、赤と青を組み合わせて紫色に、次に青と緑を組み合わせて水色に光らせます。そしてまた、どうすれば緑と赤を組み合わせて黄色を作れるのかを考え、試していくのです。「光った!」と嬉しそうな声が聞こえる一方、思うようにいかずくじけそうになってしまうこともあります。そんな時には、荒木さんは「今日の目標だった、赤・緑・青など全色同時に光らせたものを見てみよう」と、柔軟にプログラムを変更します。「子どもによっては、順番に覚えていくよりも、完成したかたちを見てから戻るように学んでいく子もいるんですよ」と荒木さん。諦めそうになっていた子どもも「僕も全部光らせたい!プログラミングって楽しい!」と、目を輝かせました。

約1時間半の体験のなかで、フルカラーLEDライトをカラフルな色に光らせることができた子どもたち。中には、一つひとつの色をスマートフォンで撮影する子どももいました。さらに、光の三原色を合わせると、「白」になることも体験を通して分かりました。「クリスマスツリーのようにランダムに光らせたり、センサーと組み合わせて自動で光るようにしたりするとおもしろいよね」と、荒木さんは子どもたちのやる気を引き出していきます。


ぐるぐるの森代表・山内まどかさんの思い​

「自然に囲まれた環境で、これほどハイレベルなICT体験ができるなんて本当に贅沢なことだと思います。これからは、ぐるぐるの森に通う子どもたちだけではなく、興味のある子どもたちにも広く体験してもらえたらいいと思います」


ICTてらこや代表理事・荒木さんの思い​

「プログラミングの体験を通して“できる”という体験を積み重ねてほしい。子どもは先入観がなく、スポンジのように多くのものを吸収することができます。できるだけ子どもが自学して進めるかたちで、分からないときに大人がサポートすればそれで充分ではないかと思います。これからは、クリスマスの時期に向けて、この環境ならではの自然のものと融合しながら、これから入ってくる子どもたちの役に立つものが作れたら面白いですね」


プログラミング体験(オンライン)

【開催日時】2024年10月1日

【実施内容】光センサーを使ったプログラミング


光センサーを使ったプログラミング体験

10月1日には、初めてとなるオンラインでのICT体験が開催されました。画面越しでのやりとりとなりますが、子どもたちはリラックスした様子で、光センサーを使ったプログラミングに取り組みました。暗くなるとLEDライトが点くようにプログラミングする中で、反応を起こす値である「しきい値」やプログラムの文法、キーの使い方について自然と学んでいきます。子どもたち同士で助け合ったり、「次はこうしよう!」と意欲的に取り組んだりと、成長を感じる場面も多くみられました。また、光センサーに光を当てるために太陽にかざすなど、外という環境を柔軟に生かすシーンもありました。最後は、荒木さんからの挑戦状として、LEDライトに加えて音も鳴らすことにも取り組みました。今後は、オンラインも交えながらプログラミング体験に取り組んできます。