地域課題の解決を専門家とのマッチングや支援事業でサポート produced by 公益財団法人東北活性化研究センター

【REPORT 2024年8月27日開催】一般社団法人ICTてらこやによるフリースクール「みんなのまなびば ぐるぐるの森」でのプログラミング体験事業

2024年7月、一般社団法人ICTてらこや(以下、ICTてらこや)によるフリースクール「みんなのまなびば ぐるぐるの森」(以下、ぐるぐるの森)でのプログラミング体験が始まりました。8月に行われた第2回では、前回の取り組みを生かして、ロボットのプログラミングに挑戦することにしました。「プログラミング“を”学ぶのではなく、プログラミング“で”学んでほしい」とICTてらこやの代表理事・荒木義彦さん。体験を通して子どもたちの可能性を広げることを目指す、第2回の内容をレポートします。


実施レポート

フリースクール「ぐるぐるの森」でのプログラミング体験 第2回

【開催日時】2024年8月27日​

【実施内容①】ロボット教材に関する説明
ロボット教材の説明、動かし方の説明

【実施内容②】ロボットを使ったプログラミング体験
「IchigoDake」でプログラミングし、ロボットを自由に動かす。


実施内容① ロボット教材の説明

前回から約1カ月ぶりの開催となった冒頭、荒木さんは子どもたちに小さなセンサーを見せました。センサーが明るさを感知すると光るようにプログラミングされており、本日の体験内容と関係があるようです。
今回、荒木さんが用意したのはロボット教材です。7月の体験で使用した「IchigoDake」でプログラミングすると、自由に動かすことができます。「今日はロボットを動かしてみよう」と荒木さんが声をかけると、子どもたちが集まってきました。

箱からロボットを取り出すと、ロボットが動く仕組みやセンサーの場所などを説明します。説明が終わると、さっそくテキストを確認しながら文字や数字を打ち込んでプログラムをつくります。荒木さんは、子どもたちがイメージしやすいお掃除ロボットを例にあげながら、ロボットがどのようにプログラミングされているか、どこにプログラミングが使われているかを話しました。

プログラミングを始めてすぐ、子どもたちから「この文字を打てばいいの?」「ここはどうすればいいの?」と質問があがりました。荒木さんはぐるぐるの森のスタッフとともに、一人ひとりのペースに合わせてサポートします。
プログラミングができたら、「IchigoDake」をロボットに接続して動かします。動かなかったり、逆に止まらなかったりと失敗してしまうこともありますが、子どもたちと一緒に「どうして動かないんだろう?」「どうすれば止まると思う?」と、原因を考えながら解決策を見つけます。ようやくロボットが動くと、歓声をあげて喜ぶ子どもたち。次第に、自由にプログラムを作り始めました。


実施内容②ロボットを使ったプログラミング体験

夢中でプログラムを作り始めた子どもたちに、荒木さんは「この数字を大きくすると長く走るようになるよ」「今度は右に曲がらせてみよう」と、次のステップに進めるように声を掛けていきます。プログラムが長くなりロボットの動きが大きくになるにつれて、動かす場所も机の上から広い床に変わっていきました。

円を描くように走らせたり、5秒走らせて止まらせたりと、思い思いにプログラムを作っていきます。荒木さんはセンサーを見せながら、「センサーを組み合わせれば、暗くなると動く仕組みにできるよ」「コースを作って走らせてもおもしろいよね」と、さまざまなアイデアを投げかけます。「『ロボットでものを運びたい』『音に反応させたい』など、子どもたちの中に芽生えた『やりたい』という思いに、大人が伴走してあげることが大切だと思います」と荒木さんは話します。

ときには脱線してしまう場面があっても、荒木さんはアイデアにつなげます。子どもたちがロボットを撮影し始めると「ロボットのフォトジェニック賞を決めたり、ダンスコンテストがあってもいいね」と声を掛けます。「教育には、タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスを求めるのではなく、無駄に思えるような体験からも子どもたちの可能性は広がると思います。ぐるぐるの森のようなサードプレイスでも、経済格差や環境に左右されることなく、多くの体験ができるといいと思います」。

体験学習の終盤、荒木さんは音を出すプログラムも作れることを伝えました。小さい音のため、子どもたちは顔を近づけて耳を澄ませ、「聞こえた!」「低い音や高い音も出せるの?」と盛り上がります。荒木さんは「クリスマスの時期にはセンサーやイルミネーションと組み合わせると楽しそうだね」と、子どもたちの考えを広げます。


荒木さんの思い​

プログラミングはやりたいことや目的を形にするためのツールであり、 もっと身近で簡単なものだと感じてほしいと荒木さん。「最近では、子どもたちが考える機会が失われているように思います。大人は、自分が分からないことに対して子どもも遠ざけてしまいがちですが、ぜひ一緒に体験してほしい。できないことは悪いことではなく、できる方法をさまざまなアイデアや気づきをもって考えることが大切だと、体験を通して感じてほしいと思います」。これから、ICTてらこやが主催するプログラミングコンテスト「とうほくプロコン」に出場することを視野に入れながら、プログラミング体験を実施していきます。